全国クラブ大会のことなど。

大学でもなく,実業団でもなく。


 もちろん,ある大学との関係性が強かったり,あるいはクラブのルーツを手繰っていくと,ある実業団チームへと行き着く,などというケースもあります。また,もともと活動していたクラブ・チームと実業団が合流する,などというケースがありますが,ある意味で欧州的なクラブの姿に近いのは,むしろこちらかも知れない,と思ったりもするのです。


 今回はフットボール,でも楕円球なフットボールの話を全国クラブ大会のトーナメント・ドロー(JRFUオフィシャル)をもとに書いていこう,と思っています。


 たとえば,秩父宮に足を運んでみるとして。


 第1試合と,第2試合で観客を入れ替えるというケースはありません。2試合が組まれるケースが多いわけです。その第1試合が,「前座」として位置付けられることもありまして。その前座が,クラブ大会決勝だったりするのです。実際,数季前に北海道バーバリアンズとタマリバで戦われた決勝戦を見たことがあります。今季も,トーナメント・ドローを見る限りでは決勝戦で当たる可能性がありますが,今季に関しては“六甲ファイティングブル”に“ドラゴンズ竜ヶ崎”に注目してみようかな,と思っています。


 まず,六甲ファイティングブルでありますが。


 どこかで見たようなチーム名だな,と思いつつ六甲ラグビーフットボールクラブのオフィシャル・サイトを見てみると,やはりどこかで見たチーム名でありました。クラブが設立されたのは1969年と,40年を超える歴史を持つクラブでありますが,2009年にワールドからのサポートを受けることになったのだとか。このワールド,かつては“ファイティングブル”としてラグビートップリーグを主戦場としたことがあります。そんな会社からサポートを受け,チーム名をもともとのシーホークスからファイティングブルへと変更した,とのことです。
 関西クラブリーグでは,ワールドからのサポートを受ける前から強豪として位置付けられるチームであり,今季も関西リーグ1位,つまりはシードのポジションでトーナメント初戦を迎えることになります。関東リーグ1位である北海道バーバリアンズにしてみれば,要マークな存在,その最右翼ということになりましょう。


 次に,ドラゴンズ竜ヶ崎です。


 こちらも,どこかで見たようなチーム名だな,と思っていました。本拠地が竜ヶ崎で,チーム名がドラゴンズ。アソシエーション・フットボールなチームでも,“クラブ・ドラゴンズ”があったな,と思ってみると,やはり流通経済大学ラグビー部との関係を持つチームでありました。流経大サッカー部と同じように,ピラミッド構造でチームを組み立てているわけです。
 で,ドラゴンズ竜ヶ崎でありますが,2009シーズンは東日本トップクラブリーグ2部を主戦場として戦い,1位で入替戦へと進出します。この入替え戦を制し,今季は東日本1部リーグを戦うことになったわけですが,今季はさすがに強豪であるバーバリアンズ,そしてタマリバの壁は厚かったようでリーグ戦は3位となります。であれば,この全国大会では,名古屋クラブとの1回戦も非常に重要ですが,その先にあるタマリバとの再戦も重要なものとして考えているだろう,と感じます。


 大学選手権とも,もちろんトップリーグとも違いますが。


 それでも,日本選手権への切符が懸かったトーナメントであることは確かです。大学選手権に対して用意されている出場枠,トップリーグ勢に対して用意されている出場枠と比較すれば,クラブ・チームの位置関係や,トップリーグとの距離感は感覚的に理解できるところでもあります。ありますが,このトーナメントを制することで,さらなるトップレベルのチームとの対戦機会が得られる,とも言えるはずです。実力関係が比較的明確に反映されがちな競技ですが,それでもゲーム・プランの動かし方次第では,アップセットを起こすことも可能なトーナメントです。そのための第一歩とも言える。楽しみなトーナメントだな,と思います。