Finally Promoted(対抗戦入替戦)!

耐えなければいけない時間帯で,耐え切れたこと。


 当然のこと,と言われればそこまでですが,これまでのチームでは必ずしも徹底できなかった要素です。たとえば,前半にしっかりと自分たちで試合を組み立てていたとしても,ハーフタイムを挟むと別のチームになってしまうことがあった。相手のラッシュに対して,そのラッシュをどのようにして抑え込み,逆襲のきっかけにするのか,という部分で戦術的な要素がなかなか見えなかった。そのために,耐えるべき時間帯に耐えきれなかったし,リズムが相手に傾くと,そのリズムを再び引き寄せることが難しかった。Aグループから降格したシーズン,そのシーズンから数季遡った時期のチームを思うと,ゲーム・コントロールがあまりに不安定だったことを思い出しますし,ある意味で降格という結果は必然として映ったことを思い出します。


 ある意味,悪癖であったゲーム・コントロールの不安定性。その悪癖が,100%消え去ったと言うにはまだ早いと思うけれど,不安定性がゲームを決定付けるまでには至らなくなった,とは言えるはず。小さな進歩,なのかも知れないけれど,Aグループへと足を掛け得るだけの進歩だとは言えるかな,と思います。


 残念ながら,熊谷に足を運ぶことはできず,マッチ・スタッツ(関東協会オフィシャル)を通じて試合を振り返る程度しかできないのですが,対抗戦Aグループ最下位と,Bグループ首位との入替戦の話を書いていこう,と思います。


 タイトルでほぼお分かりか,と思いますが,個人的に思い入れていたのは残留を賭けていたチーム,ではなくて,昇格を賭けていたチームであります。関東協会が用意してくれているマッチ・スタッツを見ると,この試合で先手を取ったのは青山学院であります。4分という時間帯でトライを奪取,コンバージョンを成功させています。いますが,その後の時間帯で立教に逆転を許します。ここからの時間帯がひとつ目の鍵で,かつての青学だと,相手にリズムを握り返された段階でゲーム・コントロールが不安定になってしまっていました。この時間帯を踏みとどまれたこと,2トライ1コンバージョンを奪取することでゲームの主導権を手放さなかったことが大きかったかな,と思うのです。
 2つめの鍵かな,と思うのはやはり,後半立ち上がりでしょうか。
 スタッツを見ると,少なくとも失点に直結するようなリズムの失い方をしているようには感じられないし,ある程度ゲームをコントロールすることができたかな,と感じます。
 そして3つめの鍵だろう,と思うのが,冒頭にも書きましたが立教に3点差(つまりは1トライ,あるいは2PGで逆転を許すだけの僅差)へと詰められたあとの時間帯であります。この時間帯を耐え切れたことが,この試合を決定付ける要素,そのひとつになったな,と思うのです。こういう厳しいプレッシャーが掛かった時間帯,ときに脆さを露呈したチームが,そんな脆さを見せることなくノーサイドのホイッスルを聞くことができた。スポーツ・メディアの記事では,高校強豪校から選手を獲得,強化プランが奏功したというニュアンスで書かれていましたが,個人的には強豪でプレーしてきた,そのメンタリティが厳しい時間帯を乗り切る背景,と言いますか,原動力になってくれたのかな,と感じるところです。


 さて。2011シーズンは,ひさびさにAグループを主戦場とすることになります。このことは,当然うれしい話です。ですけれど,それだけで止まってしまってもいけないな,と思うのです。


 来季は,厳しい戦いになる,と当然に意識してほしい,と思います。


 この試合でも,まだゲーム・コントロールが緻密であるとは言いがたいところがあります。この試合では前半の段階でリズムを再び引き寄せ,主導権を失わずに済んだけれど,Aグループ上位校との試合では,ちょっとした隙をきっかけにゲーム・プランが大きく崩される可能性が高くなります。今季の慶應義塾,あるいは早稲田などを見ても,ディフェンスの鋭さ,強さはBグループでは経験できない水準だと思います。そんなディフェンスに対して,自分たちからミスを誘発してしまっては,ワンチャンスを狙うのは難しい。2011シーズンに向けて,チームとして徹底すべきことは多いように思います。まずは,「エレベータ」に乗ることのないように,しっかりと戦える状態を,と期待しております。