既報通り。

結局のところ,クラブは変わっていなかったのかな,と。


 情報管理に決定的な甘さを感じさせたのは,つい数季前のことです。クラブ内部でしっかりと意思疎通を図れば解決できるはずの話が,どういうわけかスポーツ・メディアを経由して表面に出てしまう。のみならず,クラブの根幹に関わるような話が「関係者」という匿名の人間によって表に出る。しかも,その人物はメディアを経由して,何らかの誘導を意図しているようにも映る。そんな姿を変えようとして,クラブは積極的に情報をオフィシャルにアップさせる方向へと進んでいったはず。


 けれど実際には,ネガティブな意味で「原点回帰」を起こしていた。


 リーグ戦終盤にかけて,ファースト・チーム周辺へのノイズは相当なものだったけれど,その音源は数季前か,と思うように「関係者」さん経由だった。数季前と同じように誰かが何らかの意図を持って情報をスポーツ・メディアに渡し,誘導を図っていたように映る。厳しく書けば,「関係者」のコメントが実質的にはクラブとしてのリリースと読める。それほどに,「関係者」のコメントはインサイドに影響を与えているということになるのだろうけれど,いささか不愉快に過ぎる話です。


 本来だったら,歓迎したい話です。


 いつかは中野田のダッグアウトで,そして思い出もある駒場ダッグアウトに,と思っていた人間が,実際に浦和に戻ってくる,というニュースリリースを読むことができるのだから。


 しかし。そういう話であればこそ,スポーツ・メディアに先行されたくなかった話です。堂々と,浦和のオフィシャルが先陣を切って発表してほしかった話です。不愉快に過ぎる話,と書いたけれど,悔しいとも感じられる話です。さらには,ファースト・チームにまつわるポリティクスを感じさせることなく読みたかった話です。「関係者」は地均しをしたつもりかも知れないけれど,そんな地均し,旧時代的なポリティクスを必要とはしていない。浦和が指向するフットボール,という揺れない根幹があって,その根幹を太く,強くするためにこういう人物が必要だったのだ,という明確なメッセージがあれば,極論してしまえば誰が指揮官だろうと大きな問題などではない。残念ながら,このリリースでのクラブ・トップ,彼らのコメントからは「浦和のフットボール」が,まだフォーカスの甘い状態でしか提示されていないように感じられる。


 クラブとしての姿勢が不明確なままだから,そして中途半端にポリティクスで何とかしよう,などという意図が透けて見えるから,本来だったら歓迎したいリリースだけれど,どこか複雑な思いで眺めることになる。
 まだ,ファースト・チームはカップ戦を残しているから,クラブへの明確な説明を求める時期ではないと思うけれど,説明しなくていい,ということは断じてない。カップ奪取という結果を引き出せようと,そうでなかろうと,浦和にとっての2010シーズンが完全に終わったあと,速やかに明確な指針を打ち出すべき話だろう,と感じます。