対神戸戦(10−34)。

受けてはいけない試合を,まともに受けた。


 少なくとも,「浦和なフットボール」に持ち込むことはできませんでした。厳しく書けば,中途半端だった,ということになるでしょう。ボールをどのように奪うのか,という局面で相手の鋭さに後手を踏む。ここが出発点だと思うのですが,立ち上がりの時間帯から「ボタンの掛け違え」が始まり,その掛け違えた状態はフルタイムが経過するときまで,ほぼ変わることがなかった。


 最終節でもいつものように,の神戸戦,であります。ありますが,今節に関しては短めで。


 端的に書いてしまえば,誰が悪いではなくて,誰もが悪かった。と言いますか,チームとして悪かった。自分たちのフットボールを描く,そのきっかけをつかめなかった。


 ラグビーフットボールにしても,フットボールにしても。


 心理的な要素が,ゲーム・コントロールに与える影響は相当に大きい,と感じます。


 ちょっと対戦相手の視点で考えると,この最終節はある意味,シャーレを引き寄せようとする試合と同じ,あるいはそんな試合よりも重みを持った試合だった,と思います。「勝ち点3」を奪取する,という意識をチームが共有していたし,チームとしてすべきことを整理し尽くしていたように受け取れました。当然,スカウティングをベースに戦術的な約束事を徹底していたでしょうが,それだけではなくて,ごく立ち上がりの時間帯からラッシュをかける,という意識を徹底させていたように感じます。
 そんな対戦相手に対して,浦和はリズムの引き寄せ方が良くも悪くも「いつも通り」だったように感じます。追い詰められた,自分たちから仕掛けるほかにない対戦相手に対して,そのモチベーションを上回るような形でボール奪取を仕掛ける,ということがチームとしてできなかった。自分たちの形でボールを奪える局面があまりに少ないから,守備応対で走らされることになる。当然,相手に引きずられる形になるから,攻撃へと切り替えたときのポジション,距離感は適切な距離感から離れてしまう。さらには,ボール・ホルダーを効果的にサポートできる距離感が維持できない。中盤での勝負を相手は省略しながら縦に仕掛けていくから,最終ラインはターゲットを絞り込んだ(ラグビー的な言葉を使えば,ジャッカルを仕掛けるような)守備応対が仕掛けにくく,厳しい状態に置かれることになる。今節の最終ラインに関して考えるならば,アタック&カバーの関係性がカバーだけに傾く時間帯が多かった。そのために,ボール・ホルダーへの守備応対でミスを誘発すれば,そのミスが決定的なミスへと直結することになる。


 決定力,という課題を含めて,今季付きまとってきた課題をまとめ上げれば,今節となる。


 そんな表現をせざるを得ない試合でしたが,課題が噴出してしまった原因を突き詰めていけば,心理面に突き当たっていくように思うのです。ビハインドを背負いながら,そのビハインドを跳ね返すことのできた川崎戦ではできたことが,今節ではできなかった。立ち上がり,という部分では第33節と同じ課題を表面化させたわけですが,その原因を突き詰めなくてはいけない。
 リーグ戦,という意味では確かに終わっているけれど,すべてが終わったわけではない。まだまだファイティング・ポーズを崩すわけにはいかない。ACLへの切符を奪いたい。その意思を貫くつもりならば。最終節で,「終わった」気になってもらったのでは困るのです。むしろ,最終節からの3週間弱が,最も重要な時期,と認識してもらわないと困る。


 今季を総括し,来季への糧とするのであれば,すべてが終わってから。そう,個人的には思っています。