対横浜FM戦(10−32A)。

いい時間帯で,得点を奪取できたこと。


 10シーズンな浦和にとって,苦手分野かも,と感じられる要素をクリアできたことが,「勝ち点3」奪取につながった最も大きな要素ではないかな,と感じます。いつもの通りに,な横浜FM戦であります。


 さて。今季,浦和に付きまとってきた課題は「得点奪取」だろう,と思います。もうちょっと丁寧に書くならば,自分たちが主導権を握っている時間帯に,その主導権をしっかりと引き寄せるための得点奪取,であります。


 主導権を掌握している時間帯に,得点奪取というピースが嵌らないことで,結果として相手に流れを譲り渡すことになる。先制点を奪われることで,リズムを奪い返すための反発力が必要となり,後手を精算しきれない状態に陥る。09シーズンからのフットボール,そのフットボールを表現しきれない時期にはほぼ共通してこのような循環があったように思うのです。この悪循環を断ち切るには,「効果的な」時間帯と言うか,それとも「いい時間帯」と言うかにかかわらず,自分たちがゲームを動かせている時間帯に得点を奪うことが求められていくわけです。
 また,今季はセットピースからの得点奪取がいささか少な過ぎるように感じます。アタッキング・サードでのFKにせよ,CKにせよ,得点奪取に向けた足掛かり,という感覚が薄かった。主導権をしっかりと引き寄せる,あるいは相手に傾いた流れを引き戻す,そのきっかけとしてセットピースを活かす,ということが,今季のフットボールではなかなか表現できていない。決して軽視できない課題だと感じますが,今節は先制点奪取の局面が,そのセットピースでした。
 CKからのリフレクトを,遠目の位置から躊躇なく振り抜く。
 CKからリフレクト,という段階までは(残念ながら,ネガティブな意味を持った)いつものセットピース,でありますが,そのリフレクトを収められるポジションに,今節はミドルレンジからのショットを得意とするフットボーラーが構えていた。立ち上がり,と表現して差し支えない時間帯に先制点を奪取できたことは,やはりひとつの鍵だろうと思っています。そしてもうひとつの鍵が,ハーフタイムに入ろうか,という時間帯での追加点,でありましょう。アディショナル・タイムでの失点はもったいないものがありましたが,それでも心理的な優位性を持って後半へと入っていける,そんな重要な足掛かりが,ミドル・レフトからのシュートではなかったかな,と感じます。
 

 続いて,後半の印象でありますが。


 やはりいい時間帯で追加点を奪取できているな,と感じます。そして,そのきっかけとなっているのは09シーズンからチームに意識付けしてきている,アウトサイドを意識した攻撃であります。
 アウトサイドで主導権を握り,鋭く縦へ仕掛けていく。その仕掛けに反応して,トップやアタッキング・ミッドフィールドはフリーランを仕掛ける。アウトサイドを駆け上がるボール・ホルダーは,アーリークロスを狙うのでもなく,マイナスに戻すようなパスを繰り出すのでもなく,攻撃的なトラバース・パス,相手守備ブロック背後を突き通すようなパスを繰り出す。そして,相手守備ラインから抜け出したフィニッシャーが,ボールをゴールマウスへと置きにいく。
 浦和が新たなフットボールを表現し始めた時期,確かに表現できていたフットボールを,この時期に来てしっかりと取り戻してきた,ということもまた,今節での大きな収穫ではないかな,と思います。


 残念ながら,スタンディングに影響を与えられる「勝ち点3」ではありませんでした。当然,自分たちが自力でスタンディングに影響を与えうる位置に留まれなかった,この試合を「勝ち点3」以上の価値があるゲームにするための準備が足りなかった,という要素が大きく作用しているのですが,そんな要素を差し引いても,大きな意味のある「勝ち点3」ではなかったかな,と思います。
 09シーズンから表現しようとしているフットボール,そのフットボールを最大限に機能させるためには何が必要不可欠な要素なのか,端的に示しているゲームだったように思いますし,この要素をしっかりと意識することがシーズン最終盤の2ゲーム,そしてカップ戦につながっていくように感じます。