マセラッティがSUV(とか)。
アニェッリにせよ,マルキオンネにせよ。
フィアットのボスとなると,どうも考えることは似てくるようであります。ただ,マセラッティなのか,ランチアなのか,という違いはあるとしても。純然たるアウトサイドとしては,見てみたいような気もしますけど,それ以前の問題としてフェラーリがエンジン供給に納得してくれるのかどうか。
レスポンスさんのニュース記事をもとに,フィアット・グループの商品計画について書いてみよう,と思います。
ダイムラーとの提携関係を解消したクライスラーでありますが,現在はフィアットと提携関係にあります。提携の具体的なメリットを商品として,とマルキオンネさんが考えたかどうか,は分かりませんが,ジープ・ディビジョンのSUV,ジープ・チェロキーをベースにしてフィアット・ブランド(正確には,フィアットがコントロールするアルファやマセラッティ)なSUVをリリースしよう,という計画を持っている,とのことであります。
あくまでも個人的な推理ではありますが,恐らくフィアット首脳陣はフォルクスワーゲンあたりをイメージしているのではないかな,と感じます。つまり,ジープ・チェロキーをフォルクスワーゲン・トゥアレグとして位置付け,アウディからリリースされたQ7に相当するのがアルファなSUV,そして,ポルシェ・カイエンとマーケットを争うことを意識して,マセラッティなSUVを考えているのではないかな,というわけです。であれば,ポルシェと真正面から勝負を挑み,なおかつ凌駕できるだけの商品力を持つために,フェラーリ・エンジンを持ち出したい,という意図は理解できるな,と。
考えてみれば,フィアットは過去においても「この手法」は使っています。冒頭に書いた,アニェッリさん(当時のフィアット会長)の愛車でもあった,ランチア・テーマ8・32であります。
確か,ランチア・テーマは国際的な共同開発,“クワトロ・プロジェクト”の一翼を担うモデルでありました。このクルマが狙ったセグメントは確か,セグメントD。であれば,あまり大きな排気量のエンジンを搭載する予定はもともとなかったと思うのですが,そんなエンジン・ルームに(AMGのように,と言ったら失礼かも,ですが)フェラーリV8をねじ込んだわけです。
と,前例がまったくない話でもないわけです。さらには,高級SUV市場はすでに市民権を獲得してもいます。どちらかと言えば,クロカン4駆に近い存在であったはずのレンジやメルセデスも,BMWのXシリーズやカイエンを意識して,だと思いますが,オフロードでの踏破性よりもオンロードでの路面追従性,車体安定性を強く意識した設計,サスペンション・セッティングを施すようになってきています。フィアットも,遅ればせながらこの市場に参入しよう,ということなのだな,と理解できる話です。
ジャンケンで考えれば,ヒジョーに後出しなわけですから,マセラッティのバッジが付いただけ,なんてモノではなくて,しっかりとマセラッティらしい雰囲気をまとったSUVを,と思うところです。