悪循環に嵌り込むフェイエノールト。

第10節終了時で,獲得した勝ち点は8のみ。


 プレミアシップでもリヴァプールが想定外な低空飛行を続けている状態ですが,エールディビジでも心理的な悪循環に嵌り込み,そこからなかなか抜け出せないクラブがあります。今回は,欧州な話を中田さんのコラム(スポーツナビ)をもとに,短めに書いていこう,と思います。


 中田さんが取り上げているのは,PSVアイントホーフェンフェイエノールトロッテルダムとの試合であります。心理的な悪循環に嵌り込んでしまって,そんな悪循環から抜け出せないクラブ,というのが,フェイエノールトロッテルダムであります。試合の流れは中田さんの記事に譲りたいと思いますが,かつて「3強」を構成したクラブ同士の対戦で,ここまで予想外な得点差を付けられる,というのはどれだけフェイエノールトに掛かるプレッシャーが凄まじいか,という見方もできようか,と思います。


 それにしても,です。


 アヤックスと決定的な差を付けられてしまっているな,と感じます。アヤックスにしても,いわゆる「欧州的なビッグクラブ」と位置づけるにはちょっと違う,という感触を持つのですが,反面で欧州的なビッグクラブがどこかに置き忘れてきた要素,下部組織を意識したクラブ・マネージメントという部分でブレを感じない,と言いますか,覚悟のようなものアウトサイドとしては感じるところがあります。欧州でのプレゼンスを安定して確保し続けるのであれば,下部組織からのボトミング・アップなチーム強化ではなくて,メルカートを通じての積極的な補強戦略を基盤に,下部組織からの戦力供給をバランスさせる,というアプローチもあるか,と思うのですが,伝統的にアヤックスは「屈み」を厭わないように見えるのです。
 屈みを厭わないチーム・ビルディングを徹底して指向する,アヤックスのような徹底した姿を,残念ながらここ数季のフェイエノールトからは感じ取ることができないできたように思うのです。何とも,クラブ・マネージメントが中途半端な印象だったのです。メルカートで積極的な動きを見せるわけでもない。むしろ,メルカートでは保有戦力を「売却する(=欧州的なビッグクラブに買われる)」ケースが圧倒的に多くて,戦力バランスを戻すための動きが決定的に足りない,という形が多かった。ならば,下部組織から有望な戦力が安定して上がってきているのか,となると,そういうわけでもない。下部組織の充実を図っている,という話を聞くでもない。ファースト・チームが持つ強さを維持する,という側面よりも,フィナンシャルな側面だけを意識してマネージメントを動かしていたのかな,と思うのです。


 個人的には,迷走状態から抜け出すことのできなかったクラブ・マネージメント,その結果としてファースト・チームがバランスを決定的に崩してしまったのではないか,という印象を持つのです。