対磐田戦(10−27A)。

戦術的な徹底度に,結果として屈した。


 ちょっとばかり古い話を持ち出すならば2002シーズン,中野田での磐田戦を思い出すところです。このときも,当時10番を背負っていた藤田選手はオフサイドに掛かりながらも,執拗に最終ライン背後のスペースを突く動きを繰り返していました。結果的に,この徹底された動きがゲームを決定付けることになるのですが,今節もどこか,似たような印象を持つわけです。


 さて。まいどの通り,の磐田戦であります。ありますが,今回はちょっと短めに。


 端的に言って,もったいないゲームでした。


 先制点奪取後の時間帯で,相手が狙うフットボールに持ち込まれてしまった,という印象を持ちます。浦和が狙うフットボールを抑え込むには,チームのコンパクトネスを奪うこと。たとえば,トップが積極的にチェイシングを仕掛け続ける。中盤での組み立てと言うよりは,シンプルにロングレンジ・パスを繰り出す,というようなビルドアップによって,最終ラインが低めに構えざるを得ない時間帯をつくる。攻撃面,守備面での連動性を奪っていく。そんな相手のフットボールを抑え込みにかかるか,という時間帯に,逆に表現させることになってしまった。しかも,抑え込めなかったミスが重なり合ってしまった。この局面でゲームをイーブンの状態へと引き戻されると,セットピースから決勝点を奪われる。


 先制点奪取によって,主導権をしっかりと掌握して,という段階に踏み込みかけたにもかかわらず,結果的には相手が描く流れへと嵌り込んだのだから,クリアすべき課題があるのは確かです。
 ただ同時に,個人的には,浦和として狙うフットボールに,ブレを生じさせないことが最も重要な要素かな,と感じます。今節にあっても,攻撃面での連動性は決して抑え込まれているような印象はなかったし,攻撃ユニットの構成はっ変更を受けてはいましたが(達也選手がスターターから外れ,セルヒオ選手がスターターとしてクレジット),攻撃面で浦和が表現すべきフットボールはしっかりと表現されていたな,と感じます。それだけに,「徹底すること」だろう,と思っています。
 思うに今節,相手が表現してきたフットボールは,浦和が狙うフットボールとのマッチングが決して良くはない。そんなフットボールに対して,ある程度自分たちのフットボールを機能させられた,という感触は大事にしていいものだろう,と感じます。ただ,「徹底させきれなかった」のもまた確かなこと,です。浦和「らしさ」を消そう,潰そうとする相手に対して,どのように「らしさ」を取り戻すか,あるいは「らしさ」を徹底していくか。


 「勝ち点3」と引き換えとなっている課題ですから,しっかりとこの課題をクリアすることで,リーグ戦終盤を戦う基盤としてほしい,と思います。