モリワキ、コンストラクターズ・チャンプへ。

レース屋,というイメージをお持ちのひともおられましょう。


 確かに,日本を代表するレース屋,そのひとつではあります。
 ありますが,「フレーム・ビルダー」、もうちょっと大きく言うならば,コンストラクターという側面も見逃せないものです。現行のWSB(JSB)規定では,フレームを変更することは許されていませんが,TT−F1規定だった当時はフレームの大幅な変更が許されていました。そのために,レース屋さんによっては自社開発のフレームをレース・トラックに持ち込む,などということがあったわけです。そんな,自社開発のフレームを持ち込んでいたのが,モリワキ・エンジニアリングなのです。ワイン・ガードナーがホンダのエースとなっていく,そのきっかけとなるマシンも,モリワキが仕立てたマシンでありました。
 2010シーズンのマシンも,ゆくゆくはそんな位置付けで見られることになりましょうか。


 今回は,フットボールを離れまして,モリワキさんのブログ・エントリをもとに,ちょっとレースな話を。


 数季前に,自社開発のフレームを使ったmotoGPマシン(確か,エンジンに関しては長く協力関係を維持しているホンダから供給を受けていたか,と。)を開発していたことがある,モリワキ・エンジニアリング。当時から,「世界」を意識していたように思うのですが,「世界」への意識が明確に形となるのが,moto2クラス,であります。
 2ストローク・250ccマシンから4ストローク・600ccへと車両規定を大きく変更,エンジンに関してはホンダのワンメイクとするものの,フレームに関してはビルダーの自由度を持たせた規定となったのです。ツインスパーであろうと,トラス・フレームであろうと,素材面で考えればクロームモリブデン鋼であろうとアルミニウムであろうとビルダーの判断に委ねられる,と。フレーム・ビルダーとしての歴史を持つモリワキにとって,魅力的な規定に映っただろうことは容易に想像できるところです。
 マシン開発については,MD600についてのページ(モリワキ・オフィシャル)で詳しく書かれていますので,モリワキさんのページに譲りたいと思いますが,いい準備をしてきた,と感じます。そして,この準備が,2010シーズンの「大きな収穫」につながる,と。


 ライダーズ・チャンピオンシップでは,トニ・エリアス選手(モリワキ・フレームを使う,グレシーニのライダーであります。)が15戦終了時点でシーズン8勝をマーク,タイトルを奪取すると同時に,コンストラクターズ・タイトルでトップに位置しています。
 いままで,レーシングな世界ではメーカの存在感はすごく強かったけれど,必ずしもレース屋,あるいはプライベティア的なコンストラクターの存在感というのが強くはありませんでした。しかし。メーカとは違うビルダー,コンストラクターから「タイトル・ホルダー」が生まれようとしています。なんとも,誇らしい話ですし,楽しみな話です。