「入場者」のことなど。

確かに,不思議な感じがしていました。


 実感として,33,660というアテンダンスがあったかな,と。


 ロアー・スタンドにも空席が散見されましたし,バック・アッパーはかなり大きな空席エリアがありました。また,ホーム側のゴール裏も,それほど密度が濃いという感じはしなかった。であれば,個人的な感覚としては,中野田でアナウンスされ,オーロラ・ビジョンに表示された数字は実感を伴うものではなかったわけです。


 とあるスポーツ・メディアに,実数と違う入場者数が発表された,という記事が掲載されています。取り立ててリンクは張りませんが,ちょっとこのことについて。


 言葉を整理しながら考えてみると。


 件の記事を書いた記者さんは,どうやらVIPや招待客を含めた「全入場者数」という言葉を念頭に置いているようです。対して,実際にチケットを購入された方だけを集計すると,「有料入場者数」という言葉になります。好意的に解釈するならば,この記事が指摘している,ゲートをくぐった30,000人弱の入場者数がいわゆる「有料入場者」で,招待客は別枠だった,ということなのかな,と考えられなくもない。
 ないけれど,今度は違った疑問が浮かびます。そもそも,ゲートを通過しない招待客が4000人弱もいるのでしょうか。招待客の方々にもチケットは配られるはずですし,専用ゲートを用意するとしても,ゲートをくぐらない,ということは考えにくいように思うのです。「全入場者数」をアナウンスするにしても,招待券というチケットを持っているのであれば,ゲートをくぐっていない,というのはちょっとおかしいな,と思うのです。もちろん,クラブにとってのVIPならば,恐らくはフリーパス(といいますか,アクレディテーション・パスやデイ・パスを用意する)ということになりましょうが,それならば4000人弱も重要な人物が中野田に足を運んだのか,4000枚近くのアクレディテーション,あるいはデイ・パスが発行されたのか,という疑問が出てきます。


 確かに,疑問は残るわけです。


 ただ,この疑問とは別に,個人的に思うところとしては。


 ひとつのゲームだけで,観客数を上乗せするメリットがあるか,と考えると,メリットを感じないのです。大きなキャパシティを持った競技場を使う,という判断をしたにもかかわらず,50%を下回るような動員力しかない,と思われるのはスポンサーに対する訴求度にとってマイナスである,という論理構築もできなくはないでしょう。ですが,そもそもワンシーズンに1回使用する程度の競技場であるのに,そんなベニューでの動員力にこだわることが,どれほどの意味を持つのかな,と思うのです。かりに実数を上乗せしても,何にもならないように思うのです。
 むしろ,強く意識すべきは本来の本拠地での動員力ではないのかな,と。本拠地を常時フルハウスに,であったり,シーズンチケット・ホルダーをどれだけ多くしていけるか,などをより強く意識すべきだろう,と思うわけです。


 と見てくると,スポンサーへの訴求度を高めるどころか,逆方向に作用する可能性が高い,と思うし,リーグが示してきた姿勢から見ても,実数発表を続けてきた,ということへの信頼性を失わせかねない話になっているな,と思うところです。