プレゼンテーションな代表戦。

プロトタイプは,10月までお預け,と。


 であれば,プロトタイプ構築に向けてJFAがプレゼンテーションを,という感じでしょうか。ザッケローニさんに,これまでの日本代表の特徴はこんな感じで,これからの方向性をJFA,と言いますか,技術委員会としてはこんな感じでイメージしています,というような。


 であれば,ファイナル・スコアを意識する必要はないかな,と思います(勝利を収めた,というのが喜ばしいことであるのは当然としても)。どちらかと言えば,原さんがプレゼンテーションしたパッケージ,あのパッケージがプロトタイプを検討する上でのモックアップになるのか,それとも前任指揮官である岡田さんが主戦としたパッケージがプロトタイプのベースとなるのか,という部分が個人的には気になったりします。


 ということで,代表戦でありますが,時期を外していることもありますし,今回はあまりやらない,パッケージ(要は数字)な話をしてみようかな,と思っています。


 横浜国際でのパラグアイ戦,長居でのグアテマラ戦に共通するパッケージとして,原さんは4−2−3−1を持ち込んできました。横浜国際では憲剛選手と細貝選手,長居では橋本選手と細貝選手をスターターとしてクレジット,明確にアンカーとしての役割を持ったセントラルではなくて,攻撃面と守備面のバランスを取りながら,というセントラルへと方向性を変えてきていたわけです。
 確かに,横浜国際にあっても,長居にあっても攻撃的に,という方向性を志向しはじめたことは感じ取れました。ただ,ここまでのパッケージと違うことが,シンプルに攻撃面につながっていったか,と考えると,ちょっと違う印象を持つのも確かです。セントラルだけでなくて,アタッキング・ミッドフィールドの構成が変更を受けていることも,重要な要素のひとつではないか,と感じるのです。


 本戦では,本田選手が1段高い位置,トップをイニシャル・ポジションとするパッケージでした。対して横浜国際,そして長居では本田選手のイニシャルを1段下げている。アタッキング・ミッドフィールド,と言いますか,攻撃的なセントラルの位置であります。そしてサイドをイニシャルにしているアタッキング・ミッドフィールド,と言うか,ウィングとの関係性で攻撃を組み立て,フィニッシュへとかかわっていく,と。


 さて,数字が変化の要因だったか,と考えてみるに。


 必ずしも,そうではないでしょう,と。岡田さんのパッケージは,ある意味で「消去法的な選択」を基盤とするパッケージに映ります。違う形を意識した人選をしていながら,実際にはチームを機能させるために,選択せざるを得なかったパッケージ,と言いますか。本戦でのゲーム・プランにしても,積極的に仕掛けていくところから勝ち点を奪いに行く,というよりは,相手のミスを冷静に待ちながらワンチャンスを,という方向性を志向していました。守備的な意識で,パッケージを運用していたように思うのです。
 対して,今回の国際親善2連戦は,守備面の基盤は尊重しつつ,攻撃的な方向に意識を振り向けた,と。加えて考えるならば,アウトサイドを意識したフットボーラーを,最初から選んでもいます。香川選手に乾選手(流動性をうまく作り出せてはいたと思うけれど,ちょっと,トラクションが掛からなかったような感じがしますけども。),本戦から引き続き,で思えば松井選手など。チームとして,攻撃面で狙う方向性が本戦段階よりも明確になっている,と。そんな印象を持つのです。であれば,中盤の構成が逆三角形である4−3−3を維持した状態で,攻撃的にできたかどうか,というテストを横浜国際,あるいは長居のどちらかで見てみたかった,と感じるところはあるのです。


 ということで,最後にザックさんのプロトタイプを推理してみるに。


 4−3−3,もうちょっと細かく書くならば,4−1−2−3的なパッケージを持ち出してくるかな,と思っています。チームとして,ウィンガーを徹底して活用すること,アウトサイドにおける数的優位を構築,維持することなどを方向付けるつもりであるならば,そしていままでの蓄積をそのままキャリーするのであれば,ちょっとしたモディファイ,意識面での微調整で動かせるだろうパッケージを最初は使ってくるかも,などと思っております。