対東京国際大学戦(2回戦)。

各方面にとって失礼な日程だな,と。


 今季は,ワールドカップに伴う中断期間が設定された関係上,どうしても日程面が厳しい。天皇杯もこの日程の厳しさの影響を受ける形で,3日に1回戦を戦うと,2日未満のインターバルを挟んで,プロフェッショナルとの対戦が待ち構えている。プロフェッショナルにしても,リーグ・カップを戦うクラブは短いインターバルで連戦を戦うことになる。


 来季以降がどのような日程になるかは分かりませんが,今季のような過密日程については再考の要あり,ではないでしょうか。と,試合以外の話を書いてみましたが,駒場での天皇杯初戦であります。


 今回は,いつもとは違った書き方をしてみよう,と思います。


 では,最初に対戦相手に敬意を表して,東京国際大学の印象から。


 チームとして,カウンター・アタックを狙うという要素は共有されていたものと思います。思いますが,最終ラインを低めに構え,中盤,前線を含めたブロック構築によって浦和を抑え込む,という戦術アプローチではなくて,ボール奪取位置を中盤にセットしているような印象を受けました。カップ戦でありますから,「先に進む」ことを意識しているのは確かだとしても,戦術的な微調整は必要最低限にとどめる,というアプローチを選んできたように受け取りました。
 であれば,機動性が上がりきっていないような状態が,特に前半は気になりました。恐らくは,技術的な部分などでの差を,機動性によって埋めていこうというアプローチであったか,と思うのですが,基盤となるはずのフィジカル,フィットネスが戻りきってはいなかったのではないか,と。そのために,浦和の攻撃に対して後手を踏む時間帯が多かった,という印象を持っています。
 ただ,時間帯という部分で考えるならば,ハーフタイムを挟んで後半立ち上がりからの時間帯は,彼らのリズムで攻撃を仕掛けていた時間帯,ということになろうか,と思います。ただ,ここでも最終的な部分をコントロールされたこと,得点奪取という部分では浦和に再び先手を取られたことで,ゲームとしては厳しさを増してしまったような印象です。


 対して,浦和の印象であります。


 まずは,「先に進む」という最優先項目をクリアしたことにフォーカスすべきか,とは思います。昨季が昨季,であったわけですし。
 とは言いながらも,「相手の出方に合わせる」,受けるような立ち上がりではなくて,自分たちから主導権を握りに行く,という姿勢で試合に入れた,ということはこの試合における最初の鍵ではないかな,と感じます。そして,立ち上がりの時間帯,と表現すべき時間帯で先制点を奪取,心理的な負荷を取り除くことができたことが,次なる鍵ではなかったかな,と。相手が守備的に試合を進める,ネガティブな言い方をすれば,試合を壊しながらワンチャンスを狙うという方向性ではなくて,しっかりと自分たちのやり方を意識しながら同時にカウンターを,という戦い方を選んだことで,浦和にとっては攻撃を仕掛けやすくなった(それほどタイトなエリアで窮屈なプレーをしなくてもいい),という部分があったように感じます。それだけに,SBのプレー・エリアは高い位置を保持できる時間帯が長かったし,アタッキング・ミッドフィールドやトップとの距離感を保つことができた。プロフェッショナルとの対戦では,なかなか難しい形ではありますが,どういう形を意識しておくべきか,という意味においてはしっかりとイメージを残しておいていい,と感じます。
 逆に課題,という部分でこの試合を見るならば,やはり「仕掛ける」のか,それとも「もう一段相手を崩してからフィニッシュ」を選ぶのか,という局面で,仕掛けるという選択肢が少ないケースが見られるな,ということです。相手をキッチリと崩してからフィニッシュへ,という意識が高いことはいいこと,ではあるとは思うのですが,積極性が失われてはいないか,と思うところもあります。もうちょっと,「オレが!」を見せていい時間帯があるな,とこの試合でも感じました。守備面で見れば,さすがに連携が熟成されているパッケージではないな,と感じる局面が見られました。SBが高い位置を保持できるだけに,チームとしてリスク・マネージメントを適切にしていないと,厳しい形に追い込まれる。相手攻撃ユニットと最終ラインとで数的同数,しかも相手に斜めに切り込まれる,というような嫌な形をつくられてもいましたから,この局面に関しては要修正,でありましょう。


 さてさて。最後に,ちょっとだけ駒場についての話を。


 ちょっと厳しい言い方になりますが,「駒場農場」というようなピッチ・コンディションでありました。砂が浮き上がって見える,というようなコンディションではないにしても,ピッチ表面に相当なデコボコがあるのがスタンドからも感じられるような状態でありました。全面的な張り替えをした,という記憶も薄いだけに,恐らくはすでに地盤の段階から問題を生じている,と考えるべきかも知れません。3回戦も確か駒場で,だったかと思いますし,高円宮杯もグループリーグ最終戦が組まれていると思いますが,さすがに厳しいコンディションだな,と思ってしまいます。