ザッケローニさん、代表監督就任へ。

スポーツ・メディアさんも,決定権を持っているかのような書き方でしたが。


 原さんの嗜好には恐らく最も近いだろう,スペインな指揮官でもなく,アルゼンチンな指揮官でもなくて,なんとイタリアーノなコマンダトーレでありました,と。そうきましたか,であります。


 さてさて。日本代表監督にアルベルト・ザッケローニさんが就任予定である(契約交渉の最終段階を,というスケジュールでありましょうか),という話を,こちらの記事(こちらの社も,決定権を持って辞令を発令したかのような書き方をしておりましたですな。)をもとに,書いてみようと思います。


 ザッケローニさんが操ってきた戦術パッケージは,この記事にも書かれている3−4−3であります。守備的な方向性に意識を傾けるフットボールを指向するのではなくて,攻撃面に意識を傾けたパッケージを好んできた,と。
 となると,どこかのフットボール・ジャーナリストさん(個人的には,違った肩書きをオススメしたい気分ですが)はモダン・フットボールから置いて行かれた過去の指揮官,とバッサリやってきそうな気がします。過去の実績を眺めてみると,そんな論法にも理を感じるところが確かにあります。ありますが,キャリアをもうちょっと丁寧に見てみると,プレ・シーズンの準備段階から指揮権を預けられているケースが少ない。チーム・ビルディングの初期段階で戦術的な方向性を意識付けられるだけの時間的な余裕が少ないケースがいささか多かった、と言い換えることもできるでしょう。


 そもそも,3がモダンではない,というあまりに直線的な考え方もどうなのか,と思うところですが。


 JFA側の思考(論理の流れ)をちょっとだけ推理してみれば,守備的な要素を徹底することでひとつの到達点を狙おうとしたチーム,この守備面での基盤を大きく変化させることなく,攻撃面での上積みを狙う,という方向性(相当に難しいタスクだろう,と当然ながら思っておりますが。)を意識してきたでありましょう。であれば,「守備的なフットボール」が根付いている土地で,守備面だけではなくて攻撃面を意識させるフットボールを狙ってきた,というキャリアに目を付けたのだろう,と考えます。


 チーム・ビルディングの初期段階から,戦術を浸透させることができる,という意味においてはひさびさ,ということになりましょうし,3か4か,という話に絡めて言うならば,3だけでなく4をも操れるかどうか,自分の戦術パッケージとして操れるかどうか,という部分では真価が問われることにもなるだろうか,と。
 加えて言うならば,どこまでアシスタント・コーチの持っている能力を引き出せるか,という部分でも期待して見ていきたいところです。パラグアイ戦のクレジットにも表記されていましたが,関塚さんがJFAスタッフとしてクレジットされています。関塚さんが持っている戦術的な引き出しも柔軟に生かしながら,勝負を仕掛けていく,という姿勢を見せてもらいたい,という期待を持っていたりもするのです。


 ともかくも。売り込みに飛びつくのではなく,じっくりと契約交渉でビッグネームを落とす,という決断をしているわけですから,その決断が正しいということを、チーム・ビルディングによって示してほしい,と思っています。