バレンティーノ、ドゥカティへ。

格好のタレントを射止めたな,と思いますね。


 いささか気の早い話になりますが,来季のドゥカティは侮れない存在になる,かも知れません。


 ドゥカティからのリリース(サイドリバー)をもとに,フットボールを離れましてバイク・レースな話をちょっとだけ。


 2010シーズンの段階ではヤマハ・ワークスのエースであるバレンティーノ・ロッシと,2011シーズンから2年の契約をドゥカティ・コルセは締結した,という話なのであります。125ccクラスでチャンプ,250ccクラスでもチャンプ,そして当時の最高峰クラスである500ccクラスにおいてもチャンピオンに輝く。さらには,モトGPへと最高峰クラスが変わってからは,6度のワールド・チャンプとなる。疑いようのないタレントであります。そんなタレントが加入することになるのだから,ドゥカティは戦力的にいい補強,という見方も当然成り立ちます。


 ただ,それだけではないな,と思うわけです。


 マシン開発という側面で,ロッシの能力はドゥカティにとって武器になる,と思うのです。そんな側面を明確に意識させられたのは,ホンダからヤマハに移籍したときだったでしょうか。ロッシが加入するまでのヤマハ,そのパフォーマンスはしっかりとした上昇曲線に乗っているとは言えなかったような記憶があります。マシンが持っている潜在能力としては低くはなかったのかも知れませんが,どういう方向性でマシンを熟成させていけばいいのか,あるいはそもそもマシン開発の方向性が合っているのか,ズレているのかという部分が不明確なままだったように感じられるのです。そんな状態を変える大きなきっかけとなったのが,ロッシの移籍加入だったのです。
 レース・ウィークでの能力だけでなくて,テスト・セッションでの貢献が,最もヤマハにとっては大きな要素だったのではないか,と思うわけです。そして,トップ・コンテンダーという位置付けからは離れてしまっているドゥカティにとって,マシンの戦闘力を引き上げるためには,マシンに対する理解,分析力に優れているロッシのようなタレントは必要不可欠なピースだったのではないか,と思うのです。


 さて。ヤマハのエースが動いた,ということにとなると,2010シーズン終了後のストーブリーグは,結構賑やかなことになりそうだな,と感じます。