BMWミニ、WRC参戦(確定)。

言われてみれば,プロドライブとの関係性はありましたね。


 以前のエントリ(まだ,オフィシャルな発表がなかった段階です。)でもちょっとだけ触れた,ラリー仕様のE30型M3であります。M3となると,レース・トラックでの印象が強く,となるとレース・オペレーションを担当しているシュニッツァーを思い出すわけですが,彼らは決してラリーを得意としているわけではありません。そこで,ラリー方面を引き受けていたのがプロドライブ社であった,と。ツール・ド・コルスに持ち込まれたM3,そのフロント・エアダムには確かに”prodrive”というロゴ・マークがありました。


 当時のトップ・コンテンダーはインテグラーレ(まだ,8Vだったはずです。)にST165と,4WDマシンでないと総合優勝が狙えない,という状況でありましたが,ターマック・イベントですと,レース・トラックでのイメージが強いグループAマシンにも勝負権がありました。そのひとつがM3であり,もうひとつがシエラ・コスワースだったのです。フォードとしてはシエラを入口にして,主戦場をサーキットからラリー・フィールドへと移していったような印象があるのですが,BMWは必ずしもラリー,という舞台を強く意識しているようには感じられませんでした。
 さて。記憶が正確ならば,当時のカラーリングはどこか,こちらのニュース記事(RALLYPLUS.NET)で紹介されている,WRCマシンのイメージ画に採用されているカラー・スキームに似ているような気がします。


 ということで,今回はフットボールを離れまして,BMWミニのWRC参戦,その確定版の話を短めに書いていこう,と思います。


 この記事で興味深いな,と思うのは,参戦形態であります。


 参戦初期段階からファクトリー・チーム,カスタマー・チーム双方に対してマシンを供給する形を取る,ようなのであります。BMW側のロバートソンさんは特に触れてはいないものの,プロドライブのボスであるリチャーズさんはコメントで,すでにいくつかのカスタマー・チームからマシン供給に関するオファーでありましょう,オファーがあることを認めていますし,マシンのデリバリー時期については,2011年のごく早い段階を想定していることがうかがえます。
 テスト開始時期に関しては今秋を予定しているようでもありますし,2011仕様のマシンに向けたファースト・プロトタイプ(ケースによっては,2010.5モデルと言ってもいいような車両)は製作中,と言いますか,ほぼ形になっているのではないかな,と推理しています。それだけに,経験豊かなマーカス・グロンホルムが(この記事通りに)チームに加入すると開発速度も上がりましょうし,参戦当初から相当程度の戦闘力が見せられることになる,かも知れません。


 さてさて。WRCもBMWミニの参戦によって,いよいよ欧州勢のプレゼンスが際立つ選手権になってきました。ラリー・ファンとしては,BMWミニの参戦はうれしい話ではあるのですが,やはりちょっと物足りないところもあります。そこで,国産勢には,このあたりでガツンとインパクトを,と思ってしまいます。スバルはトヨタとの関係性があるから微妙だろうし(その代わり,トヨタは水面下でWRC再参戦を狙っているような,いないような。),三菱はレース参戦体制がいささか小さくなってしまっているし(次期コルトになるでしょうね。かりに参戦するとなれば)。
 「やられたらやり返す」,というイメージが確かにあるホンダ,あるいは日産やマツダあたりが動きだしてくれると,注目度はさらに上がっていくように思うところです。