不思議な法則性(France - Group A)。

やはり,ドメネクが原因なのか!?


 なんてことが言われもしますが,誰か,特定の人物をして責任を取らせるとか,そういうレベルを超えているような。


 グループリーグ,その前段階から抱えていた問題が,グループリーグの段階で単に浮上してしまっただけ,という見方もできるかも知れません。そのトリガーは,ニコラ・アネルカを外したこと。このことが,チームのバインドに決定的な影響,もちろんネガティブな影響を与えた,と。


 と,ピッチで戦う前に問題山積(まだ,グループリーグがすべて終わっているわけではないのですが。),なフランスでありますが,不思議な法則性も感じざるを得ないところがあります。
 躍進を遂げたあとのトーナメントでは,ビックリするような失速をする。1998年,スタッド・ドゥ・フランスでトロフィーを掲げたあとのトーナメントである2002年では,ファースト・ラウンド敗退を喫する。2006年は,オリンピックシュタディオンで行われた決勝戦に,駒を進めていく。残念ながら,ランナーアップではあったけれど,プレゼンスを存分に示した,とは言えるでしょう。そして,その直後のトーナメントである2010年は,と見ると。


 このトーナメントは,どこか2002年のデッドコピーのように思えるのです。


 2002年のときは,駆け込みで韓国へと渡ったのでした。このときのフランスは,ともすれば今大会よりも不振に喘いでいた,と言うべきでしょうか。グループリーグ初戦,ブルーノ・メツが指揮を執るセネガルに対して「勝ち点3」を与えてしまい,歯車が狂った状態で第2戦,釜山でのウルグアイ戦に入っていったのです。駆け込みでチケットを持って,というのはこのゲームだったのです。この試合,ウルグアイとは「勝ち点1」を分け合うことになる。
 8年後のトーナメントにおいて,再びおなじグループリーグを戦うことになる,というのも不思議な縁ですし,初戦か,それとも第2戦か,という違いがあるにせよ,おなじドローに終わっている,というのも不思議な縁だな,と。


 思えば,2002年のチームも,そんなに不振を極めるようなチームなのか,という感覚はありました。


 確かに,ジダンを欠いた状態で戦っていたわけですが,それだけがあの不振に対する説明なのか,というとどうも不足しているような気がします。チームとして,どこかフワッと戦っているような印象が付きまとっていたような。
 そして今回は,2002年どころではなく,「カオス」だな,と。


 チームとして,持っているべき戦術的な約束事,などというはるか以前の問題というか,「個」が何とかして,やっとチームとしての「形」だけを維持している,というか。ここまで「緩んだ」,まさしく空中分解したチームにしてしまった,という意味で,チームのマネージメントを担当するドメネクに責任を求めるべき部分が当然にありますが,「闘う集団」になりきれない,という意味ではチームにかかわる誰もが責任を負っている,という見方もできるように思うのです。