滑り落ちた勝ち点2(England v. United States - Group C・#1)。

正確に言うならば,滑り落ちたのではなくて。


 「後逸した」と言うべきでありましょう。低い弾道のショットであったとか,今大会で使用される“ジャブラニ”の特性が,キーパーに対しては不利に働く可能性が高い(不規則な弾道を描きやすい)など,好意的に解釈しうる余地も,まったくないわけではないけれど。
 そもそも,ジャブラニのクセは言われていたことだし,適応するだけの時間はあっただろう,と。それよりも,戦前から指摘されていた,イングランドの弱点がそのまま表面化してしまった,しかも最悪の形で表面化することになってしまった,と言うべきでありましょう。


 もったいない。それしかないな,と思うわけですが,とりあえずは「勝ち点1」を押さえてはいるわけで。また,グループCの試合は残っていますし,まだどのようなスタートと言えるか,確定はしていない,というのも確かです。ということで,イングランドアメリカのゲームであります。


 まずは,イングランドでありますが。


 いささか大ざっぱな言い方になりますが,自分たちのフットボールを展開しているつもりが,いつの間にか相手のリズムに嵌り込んで試合をしている時間帯ができてしまった,という感じでしょうか。立ち上がりの時間帯に先制点を奪い,まず開始15分,というハードルをうまく飛越した,という感じではあったのですが,問題はここから,であります。アメリカの守備応対が,先制点を奪われたという事実は確かにあるとしても,比較的安定したままであった,ということが作用しているか,と思うのですが,緩やかに,でも結構確実にアメリカが狙う,「縦」なフットボールに乗せられてきてしまったな,と。
 同点に追い付かれた局面を考えると,やはりキーパーに注目が行ってしまいますが,そもそも最終ラインの裏を突かれるような形です。オフサイドを狙うのであれば,ラインの上下動についてのイメージが共有されていて然るべき形ですし,ディフェンスに入るのであれば,誰がファースト・アタックを仕掛けるのか,というイメージがピッチに見えていなければいけない。そのどちらもが描けていなかったのだから,キーパーだけに問題がある,というよりは守備ブロックとしてのイメージが,描き切れていないがゆえの失点,という形に映ります。


 対して,アメリカでありますが。


 (イングランドびいきである,ということもありますれば)ごくあっさりと書けば,先制点を奪われた,という部分に意識を必要以上に引っ張られることなく,守備応対を繰り返していくこと,そこからシンプルに攻撃を仕掛けていくことを徹底することで,「勝ち点0」の状況から「勝ち点1」を取り戻した,という印象であります。


 イングランドアメリカともに,「勝ち点1」を確保したゲームであります。この勝ち点1に至った道筋が違うだけに,心理的に」どうチームに受け取られるかは違うでありましょう。イングランドにとっては,どこかネガティブな要素が付きまとう,かも知れない1でしょうし,アメリカにしてみれば,ポジティブに解釈することのできる1でありましょう。
 ただ,勝ち点1が,どのような意味を物理的に持つか。残る第1戦次第である,とも言えるわけですが,すべてのチームが「勝ち点1」で並ぶような状態となると,結構大きな意味を持つことになるかも知れません。