テスト、のような(コートジボワール戦)。

フットボールという競技に,アクシデントはついて回る。


 確かにその通りだとは思うのですが,国際Aマッチ,最も重要な国際Aマッチを目前に控えた状態でアクシデント,というのはあまりに割り切れない状態であります。誰が,とか,どちらが,ではありません。誰もが,です。誰もが,「選ばれた」存在なのですから。


 最終強化試合,というトレーニング・マッチ(45分×3だったとか。),コートジボワール戦であります。ヨーロッパ的フットボール・ネイションを意識したテストがグラーツでのイングランド戦であったとすれば,アフリカ的フットボール・ネイションを想定したテスト,ということになっていたはずでありますが,どうもテストであったような,そうでもないような,という印象が残ります。


 いわゆる,エクスキューズはあるだろうな,と思いはします。
 しますが,ゲームをどのように動かしていくのか,という共通意識については,コンディションというエクスキューズが該当する話ではない,と思っています。カメルーンを意識して,コートジボワールという対戦相手をセットしたまではいいとして,
 「相手にリズムを掌握されたときのフットボール
を想定してテストに臨んだのかな,と思ったりするわけです。言うまでもなく,どれだけ立ち上がりから,自分たちにリズムを引き寄せられるか,がテストをするときの大前提だったと思うのですが,実際にはかなり早い時間帯からコートジボワールのリズムで試合を動かされていたようだな,と。パッケージ面の問題も作用しているのかも知れませんが,ボールをどのエリアで奪取するのか,であったり,どのように攻撃を組み立てるのか,などの約束事がなかなかピッチに表現できなかったような,そんな印象であります。
 たとえば,チームの距離感が潰されているような時間帯がありましたし,逆にチームの距離感が大きく引き延ばされているような時間帯もありました。潰されているときは,ミドルサードあたりでのボール奪取が巧く機能しなくて,ボール・ホルダーをチェイスしながら低い位置にまで戻らざるを得ない,という形が伴っていましたし,この潰されていた状態から反撃を,というときには,どうしても押し込まれた状態から跳ね返す,という形になり,フィジカルを必要以上に消耗する,という悪循環に嵌り込んでいるように見えました。


 先制点を与えるきっかけとなる局面も,やはりチームは潰されていたような印象です。
 バランスが崩れてしまえば,グラーツでの強化試合と同じく,厳しいエリアに相手を入れてしまうことになりますし,さらには鋭いトラバースを繰り出されることになります。ディティールにかかる部分に違いが出てくるとしても,基本的な形としては,同じような形で得点を奪われる可能性があった,ということになりましょう。


 立ち上がりからなかなか自分たちのリズムで,というわけにはいかなかったのが,この先制点によってさらにコントロールされた,という形になります。本戦でやってはならない形,という意味でのテストにはなっているとしても,本戦を直前にした段階で,決して望ましくはない話です。
 相手のパッケージを意識して,そのパッケージに対応した形をぶつける,というアイディア自体を否定するつもりはありませんし,もともと岡田監督は現実的な対応を得意としてきた,という意識もあります。ただ,いまのチーム状態を思うと,テストを仕掛ける時期が適切ではないような印象です。強化試合に結果は必ずしも必要ない,としても,「手応え」を残さないといけない。イングランド戦では,小さな手応え,と言うか,手掛かりをつかんだように見えるけれど,コートジボワール戦ではその手掛かりがなかなか感じ取れない状態に戻ったかのように思える。


 できたこと,足りないことを徹底して整理するには,十分な時間とは言えないかも,ですが,最後まで「あがき続けること」,と言いますか,準備を繰り返していかないと,フットボールには付きものである幸運を引き寄せることもできないように思います。しっかりとした整理,準備を,と思います。