清宮さん、東洋大へ。

面白い挑戦だな,と思います。


 ちょっと環境面を考えてみても,決して悪くないはずです。早稲田でもその手腕を発揮していましたが,いま持っている資源をどのようにして使うか,新たな資源をどのようにして取り込むか,など,最高峰のリーグでクラブ(と言いますか,チーム)をハンドリングしてきた経験を落とし込んでくれると,大学リーグがまた活性化するように感じます。


 タイトルにも掲げましたが,今回は楕円球方向な話をこちらのニュース記事(スポニチ)をもとに,書いていこうと思います。


 サンゴリアス時代は,チーム・ビルディングそのもの,と言うよりも,どのようにしてチームをフィールドに送り出すか,という部分にウェイトが置かれていたように思います。清宮さんが言うところの「ストーリー」,意味を取りながら言い換えるならば,対戦相手に対する徹底的なスカウティングから戦術的に徹底しておくべき要素を取り出し,その要素を生かせるようなゲーム・プランを描いていく。そして,シンプルな形でチームに落とし込み,自分たちのラグビーを表現することが同時に,相手のラグビーを徹底して抑え込む,という方向性を志向する,と。
 どうも,東洋大学は清宮さんの戦術家としての側面だけではなくて,早稲田時代に見せていた側面,フィールドに意識を強く傾ける“Head Coach”ではなくて,クラブ・マネージメント方向にもしっかりと意識を払う“Manager”としての側面に必要性を感じたのだろう,と思われます。


 早稲田時代の清宮さんは,「ヒト・モノ・カネ」を巧みに整理していた,という印象があります。
 ちょっと思い出してみるに,清宮さんは大学チーム,というよりもどこか,「古豪」クラブを復活させるようなアプローチ、伝統を単純に大事にするだけでなく,モダナイズしなければいけない部分をしっかりとモダナイズさせる,という方向性でクラブ・マネージメントをしていたような印象を持ちます。実際,意識していたのは大学の枠を越えた部分であったように思われますし,ラグビー日本選手権を思い出してみても,トップレベルのクラブ・チームと同じような形を意識したのだろう,と感じています。
 あのときのアプローチは,確かに大学チームの多くに不足しているやり方かも知れない,と思うところがあります。確かにトップリーグを経験してきたひとが大学チームのマネージメントに入っていくケースも出てきていますが,大学サイドは彼らのフィールドでの経験だけに注目しているようで,どのようにしてクラブ・マネージメントをしていくのか,という部分にまでは意識を払っていないように映ります。それでは,ちょっともったいない,と思うのです。冒頭にも書きましたが,決して大学の置かれた環境は悪くない,と思っています。実戦環境,という部分では,ホントを言えばもうちょっと厳しいリーグ戦環境が整備されればいい,と思っていますが,「継続性」が物理的に担保できない(4年をひとつのタームとして,チームが入れ替わる),という部分をのぞけば,決して悪くない環境だと思うのです。


 ぜひとも,「最高峰」を明確に意識したチーム・マネージメントを,と期待しています。