対仙台戦(10−12A)。

いささか,変な表現になっているかな,とは思うのですけど。


 遅攻の加速が2010スペックなフットボールを煮詰めるにあたっての課題になっているかな,という印象を持ちます。
 確かに,パス・ワークを基盤とする攻撃で相手を崩す,という意味においてはしっかりと機能しています。スタッツから見ても,決して間違った道筋に入り込んでいるわけではないだろう,と思います。昨季は,この基盤までもが揺らいでしまったのですから,今季は安定してフットボール・スタイルを積み上げている,とは言えます。
 言えますが,フットボールとしては「中途段階」でしかありません。得点をより多く奪った側が勝つ,というフットボールからすれば,まだまだ足りない,ということであります。ここからどのようにして,「深み」のある2010スペックへと変化させていくのか,と。ワンステップ上がったなりの課題が出てきているな,という印象であります。


 ということで,まいど,の仙台戦であります。今回は雑感,と言いますか,思うところなどを。


 ごく大ざっぱに言えば,いまの浦和はまだピッチで使える速度域が狭いかも,と思います。


 パス・ワークを基盤とする攻撃。その基盤を捨て去る必要などどこにもないけれど,相手守備ブロックに「焦り」を呼び込むために,もっと狡猾にいまのパス・ワークを使ってもいいのに,と思うわけです。
 ここ数節の相手は,浦和がそれほどギアチェンジを仕掛けてこない,ビルドアップからフィニッシュまでほぼ同じペースで攻め込んでくる,という意識を徹底させているように見えます。いつ,どこで攻撃にスイッチを入れてくるか,という警戒感,あるいはボールを奪いたいエリアでボールを奪えないかも知れない,という焦りを生み出すような形にいまの遅攻が機能してくれていない,ということになるでしょうか。
 相手守備ブロックのバランスを崩せているわけではないから,相手の隙を突くにはいささかビジーなエリアを抜け出さないといけない。むしろ,焦りという意味では自分たちに焦りが出てしまっているように感じるし,フィニッシュの局面を思うと,自分たちのフットボール,という意識がために解き方を難しくしてしまっているかな,と受け取れる部分もあるな,と思うのです。


 遅攻が機能しないのだから,カウンター主体に軸足を移すべき,だとか。


 そういう「もったいない」ことをする必要性は,まったくないだろう,と思っています。そうではなくて,遅攻の中でも速攻的なエッセンスを落とし込んでいく,そんな時期かな,と思います。相手が焦れて,ボールを奪いにくるまで徹底してボールを保持する,という時間帯があったとしても,全然問題ないと思っています。むしろ,相手が焦れてくれれば,攻撃に使いたい「隙」が生まれるのだから望むところ,です。
 その焦れたときに,同じ速度域を使ってしまってはもったいない。それこそ,浦和のDNA,とも言える「縦」への速さが効果を発揮する局面のはずです。そのときに「誰か」にボールを預けてから攻撃を仕掛ける,という意識ではなくて,「自分が」攻撃のモードを遅攻から速攻へと切り替えていく,という意識で仕掛けていくことが求められてくるかな,と。共通意識,という部分でもワンステップ上がった意識が求められてくる,そんな時期に差し掛かっているように見えます。


 中断前の5節で,「勝ち点」という足掛かりをしっかりと確保した,とは言いがたいものがあります。ただ,この期間に失った「勝ち点2」であったり,「勝ち点3」に相当する課題は,これまでの課題よりもレベルが高い課題かも,と思うところもあったりします。中断期間を「勝ち点3」という結果とともに迎えられれば,という思いは当然にありますが,レベルの高い課題をクリアするための時間が,今季は用意されている,とも言えます。
 ナビスコもありますから,完全な中断に入るのはもうちょっと先,の話ですが,戦術的なレベルアップとともに中断後を迎えてほしい,と思います。