対横浜FM戦(10−11)。

“NOT OUR DAY”なゲームだった,とは思います。


 攻撃面を考えるならば,そして得点奪取の局面を思えば,決して「勝ち点0」が妥当な結果だった,ということはできないと感じます。
 ただ同時に,攻撃面である種の「ムラ」を感じる時間帯があったのも確かです。そのムラが守備面へと影響を与えた,ように受け取れる。どのようにして試合に入っていくのか,立ち上がりの課題を含めて,まだ未整理の部分がある,ということを感じさせる試合ではありました。


 いつものように,の横浜FM戦であります。


 まずは,気になったことから書きはじめていきますと。


 立ち上がり,であります。


 明確に「受ける」とまでは感じられないとしても,相手の狙う形に嵌り込む,という意味では残念ながら,前節と変わるところのない立ち上がり,と言わざるを得ないでしょう。そして,長くクリアしきれていない課題,その枠組みに収まるような形でもありました。
 先制点を奪取された局面を考えてみると,シンプルにボールを前線へと繰り出していく相手の攻撃に対して,有効なディレイを仕掛けられませんでした。昨季からの課題,とも言えるわけですが,ビルドアップから相手守備ブロックに対してアプローチを,というタイミングでボール・コントロールを失ってしまうために,ボールをシンプルに動かされてしまうと,どこで相手の攻撃を減速させるのか,そのポイントが絞り込めなくなってしまう。相手の攻撃,そのスピードを抑え込めていないのですから,チームとしての守備応対はどうしても追い掛けるような形になりますし,ボールを奪うポイントへと追い込むような形にはなっていかない。2009シーズンからのフットボールを思えば,チーム全体をコンパクトに維持する,という基本を揺るがすわけにはいきません。中盤のサポートをするためにはどうしてもラインを高く設定することになります。それだけに,ボール・コントロールを不用意な形で失う,ということが致命傷になりかねないわけです。
 それだけに,コントロールをロストした直後の守備応対,ポジション・バランスをどれだけ早く取り直せるか,も大事ではあるのですが,むしろ攻撃を構築する段階での「粗さ」を抑え込む必要もある,と感じるところです。
 粗さ,と言っても,文字通りの粗さというのではなくて,ディテールに関わっていくような部分での微妙なズレ,そのズレが積み重なるような形での粗さが出てしまうために,相手守備ブロックを揺さぶれない時間帯が生じ,結果としてひとを掛けてバランスを崩す循環へと足を踏み込んでしまっている。ひとを掛けているタイミングで,どれだけフィニッシュに持ち込めるのか,がひとつの課題になるか,と感じるところです。


 続いて,2−2からの時間帯でありますが。


 今節は,パスが足許に「刺さる」ような形でのパス・ワークが(あくまで感覚的に,ですが)多かったような印象です。パスを受けるプレイヤーが,スムーズに動き出せるようなパスというよりも,態勢を整えてからビルドアップをリスタートさせる,微妙なタイムラグを生むようなパス・ワークになっている時間帯ができてしまっていたように思います。当然,「勝ち点3」に向けたチャレンジを,という意識もあるはずですから,心理的な焦りもあるとは感じます。ただ,重要な時間帯だからこそ,相手を揺さぶるようなフリーランを仕掛けてもらいたいタイミングですし,戦術交代も機動性を高める意図を持ったものだったはずです。
 ですが実際には,機動性を意識していたのはスターターであって,戦術交代によってチームのギアが変わった,という印象が薄かった。戦術交代に伴うポジション・チェンジ,その意味を思えば,相手守備ブロックの隙を鋭く突きにかかることを狙ったものだった,と感じるところです。であるならば,深いポジショニングから相手エンドに,という形になってしまう時間帯が多く感じられたこと,アウトサイドへと大きく開いていく形はあったとしても,アウトサイドからボックス方向へと侵入していく,ダイアゴナル・ランが仕掛けられていく時間帯,そして縦を積極的に狙うためのポジショニングが取りきれなかったことは,今節における課題であろう,と感じられます。


 とは言え。「勝ち点3」を引き寄せるための論理構築,という側面から今節を振り返ってみれば,決してネガティブになるような試合ではない,と感じます。前半の段階,試合をイーブンに引き戻したときの攻撃にしても,2010スペックの「形」がある程度明確に見えてきている,という感覚を持ちます。ポストを掠める,あるいはクロスバーを叩くなど,相手ゴールマウスにボールを沈めきれなかった,という部分も確かにあります。“NOT OUR DAY”という印象を持たざるを得ない部分,でもあります。
 ただ,ゲームのリズムを引き寄せている時間帯で,試合を決定付けることができない(相手を突き放せない)という部分での厳しさ,そして守備面で甘さを見せてはいけない,という局面での緩さが,「勝ち点3」ではなくて「勝ち点1」の確保,という部分になり,最終的には「勝ち点0」という結果へと至ってしまったように感じられます。
 フットボール・スタイル,という意味でのリアリズムではないとしても,「戦い方」としてのリアリズムは,チームとして強く意識しておかなければならない要素ではないか,と思います。


 手応えを感じさせるゲームではあったけれど,それだけに「勝ち点」という足掛かりを失ったこと,“NOT OUR DAY”を導いてしまった要因を考えることで,「勝ち点3」を奪取するために必要な厳しさをチームとして徹底してほしい,と思うところです。