FIA−GT1(暫定)初勝利。

日産にとってのエース・ナンバーは,やはり“23”。


 かなり分かりやすい数字でありますが,ここから1を引いた“22”は準エース,というところです(USでは逆に,1を足していた記憶があります)。その準エースがFIA−GT1初勝利をもたらしました。といっても,タイトルに掲げた通り,「暫定」ではありまして,車両規則に引っ掛かったアストン・マーティンが抗議をしているそうでありまして。
 ともかく。FIA−GT1で勝負権を持ったマシンに仕上がりつつある,ということは少なくとも言えるのかな,と感じるところです。ということで,フットボールから離れて,モータースポーツな話であります。


 さて。GT−Rが初勝利を挙げたのは,第2戦・シルヴァーストンであります。フォーミュラ1をホストするレース・トラックでありまして,ドニントン・パークやブランズ・ハッチなどと並んで,UKを代表するサーキットであります。UK,となると,GT−RをFIA選手権へと持ち込んでいる“SUMO POWER”にとって,お膝元で行われるラウンド,と位置付けられます。
 彼らのサイトにもGT1選手権についてのリリースが掲載されていますが,それ以上に気になったリリースがそのリリースの下にありました。UKでもD−1に相当する選手権が開催されている(しかも,欧州選手権)ことに,驚くと同時に結構納得しましたし,その主戦兵器としてSUMO POWERが持ち込むのが(確か,UKへの正規輸出はしていなかったはずの)S15系シルビア,とのこと。HKSなどの代理店をしているだけあって,マシンの選択も「それらしい」し,モディファイの方向性もやはり,「それらしい」,というのがちょっと面白く感じてしまいました。


 ・・・話戻しまして。レースの流れは日産のレース・レポート(日産・オフィシャル)に譲るとして,個人的にはどのあたりまでGT−Rの熟成が進んでいるのか,シーズン序盤でどの程度の勝負権を持っているのか,が気になっていました。
 まだ,マシンごとのバラツキがある,というのは気になるところですし,エース・ナンバーを背負っているマシンが意外にポジションが低かった,というところに,セッティングのツボをまだ見出しきれていないのかも,という印象を受けましたが,翻って考えれば,22はUKベースのチームであることがポジティブに作用した(セッティングのツボに持っていくことができていた)のかも,と思うところです。そして,現段階でも,一定程度の戦闘力を持っていることはリザルトで示すことができているか,と。あとは,やはりどこまでアストン勢を追い詰められるか,でありましょう。アストンはGTではあるけれど,シャシー・エンジニアリングを考えてみると市販車,というよりはレーシング・マシンに近い構造を持っています。そのアドバンテージを削りにいくわけだから,チームにとってはかなりのチャレンジになるだろう,と思います。


 当然,第2戦を受けて,アストンは日産を強く意識してくるはず。彼らを上回るスピードで戦闘力を上げていくことができるならば,日本車メーカにとっては遠くなってしまった「タイトル」が現実的な視界に収まる,かも知れません。
 ニスモのバックアップも当然ですが,実戦部隊であるSUMO POWERなどには,タイトルを意識しながら戦っていってもらいたいところです。