対新潟戦(10−06A)。

スタンディングよりも,まずは足掛かり。


 ちょっとでも,先に進むための足掛かり,であります。もちろん,「勝ち点3」も重要な足掛かりではあるけれど,自分たちが武器にしていこうとしているフットボール,そのフットボールに対する信頼感とも言いましょうか,その信頼感を深めていく,というのも大事な足掛かりかな,と感じます。


 さて。いつも通りのスケジュール,な新潟戦であります。今回は,ちょっと短めの方向で。


 前節では,内容面での手掛かりというか,足掛かりはしっかりとつかめたように感じるのですが,スコア,という部分に手掛かりがつながってくれなかった,特に流れから相手を崩す,という部分へとつながっていってくれなかったことや,試合をしっかりとクローズするべき時間帯に,「縦へのシンプルな攻撃」への対応という部分で課題を残した,という印象でした。
 今節はちょっとだけかも知れないけれど,前進を続けたかな,という印象であります。


 誰かが,ではなくて,チームが全体として得点を奪いに行く,という姿勢と,得点奪取という結果がしっかりと結び付いたこと,であります。ポジションを循環させる,という要素だけを取り出せば,09シーズンの立ち上がりでも確かに表現はされていたのですが,得点という結果に結び付くような形での循環がうまくできていた,とまでは言えませんでした。むしろ,自分たちでフィジカルを厳しくしてしまうような形での循環,ムラが大きな循環だったか,と感じます。相手を揺さぶるのではなくて,ポジションの循環そのものが目的化してしまっているような,そんな形に陥っていたように感じます。その循環が,今季はある程度整理されてきたのではないか,と。
 もちろん,まだ「できる」と思う余地は大きいものがありますし,攻撃を仕掛けるときのリズムが単調に流れてしまう時間帯が多い(ギアを変えることで,もっと攻撃を鋭くできるはず),という部分もあります。トップ,あるいはトップとの距離感を取りながら,なアタッキング・ミッドフィールドが得点を奪取していく,という形,そのオプションを広げていくことも当然に重要な要素ですが,アタッキング・ミッドフィールドがセントラルを前線へと送り出せる,という形が表現できていることは,まずひとつの手掛かりかな,と思います。ポジションを効果的に循環させる中からチャンスを生み出し,得点という結果へと結び付けられた,というのは自分たちの狙うフットボールへの信頼感を深めるにあたって,悪くない収穫ではないか,と思います。


 そして,今節は試合をしっかりとクローズできた。もちろん,「縦」に代表される不安定要素はありますが,守備面においても「チームで」守備応対を,という意識が根付きつつある,というのは悪くありません。


 あくまでもシロート目な印象,ではありますが,ボール奪取位置の微調整,がこれからの課題になってくるか,と感じます。自分たちのフットボールにこだわっていく,という姿勢はシーズン序盤から徹底されてはいますが,ボールをどのエリアで奪うか,という側面については,まだ明確な戦術イメージが感じられていない,少なくとも強い印象を受けるまでには行っていないように思います。
 ボール・コントロールを失った直後の対応や,ボール・ホルダーへのアプローチ,その強度がまだ安定性を感じるまでにはいっていない,ように思います。ボール奪取面でのイメージがより明確なものになり,ボール・ホルダーへのプレッシングが安定しはじめると,相手のストロング・ポイントに対応する守備応対がはっきりと見えてくるように思います。


 いずれにしても。戦術的な熟成が(必ずしも直線的ではない,としても)結果に結び付いてきている,と思わせるゲームであります。