8強確定(欧州カップ戦)。

強気な発言にも,重みが出ますな。


 なにしろ,“アウェイ・ゴール”を持ち出さずとも8強への切符を引き寄せられる,そんな意味を持ったゴールですからね。「いい仕事」,であります。


 さて。8強が確定したUCL,ここでは過去の歴史に敬意を表して,の「欧州カップ戦」であります。スポーツ・メディア的には注目だったのはやはり,冒頭でも触れたCSKAモスクワでありましょうし,実際に期待に違わぬ,と言いますか,期待していた以上の結果を引き出したわけでありますが,個人的にはやはり,スタンフォード・ブリッジの動向が気になっておりました。スタンフォード・ブリッジに乗り込んでくるのは,かつてダッグアウトで「代名詞」とも言えるコート姿を見せていた,あの指揮官が率いるチームであります。となれば,オン・ザ・ピッチだけでなく注目ポイントが出てくるわけです。要はオフ・ザ・ピッチな話を中心にしつつ,ちょっと大ざっぱに見てみます。


 個人的に,気になっていたこと。


 ジョゼが,スタンフォード・ブリッジへの帰還に際して,「何を」言うか,でありました。あのキャラでありますから,強烈な宣戦布告でもするのかどうか,でした。と言っても,クラブに,というわけではなくて,アーセンへの攻撃よろしく,現任指揮官であるアンチェロッティへの先制「口撃」でもするのかどうか,と思ったわけです。ですが,意外な方向に会見は流れたな,と感じました。当然,自身の手腕に対する強烈な自負がうかがえる,「らしい」コメントではあったのですが,それだけではなくスタンフォード・ブリッジを本拠地とするクラブへの思い,のようなものが感じられるコメントもしていた。


 そして,第2戦を0−1で制したあとも,ある意味で「らしくない」コメントを残していました。アンチェロッティが,第2戦の90分だけにしっかりとフォーカスしたコメント(リアリズム,という部分で,「本家」を上回るか,と思ったのですが,実際にはそういかなかったですね。)を残す一方で,ジョゼはどこか,対戦相手に対するリスペクトを,いつもよりも相当多めに表現していたように感じます。彼にとって,やはり強く印象に残っているクラブなのだな,という思いを新たにしていたりします。


 1,2戦を通じて巧みにゲームをコントロール,という意味では,ボルドーもちょっと似ているかも知れません。彼らは第1戦をアウェイ,第2戦を自分たちの本拠地で,という形でしたが,ホーム・アンド・アウェイで争われるカップ戦らしさを感じさせる戦いぶりだったように感じます。対して,カップ・ホルダーであるバルサは第2戦に猛烈な加速を見せ付けた,という感じでしょうか。見方によっては,90分ハーフで戦われる試合ですが,前半(第1戦)はシュツットガルトがどのように出てくるか,を見極めるために費やした,とも感じられますし,そんな中でもアウェイ・ゴールを奪取してきている。プレッシャーを掛け与えた形で第2戦へと持ち込み,突き放す。「理想」として描きはしても,なかなか実際に表現するのは難しいゲーム・プランを遂行してみせた,というところに,凄みを感じたりします。


 さて。カップタイ・ドローはどのようなものになるか。当然,QF段階ではもったいない,などと思うカードもありましょうが,それもカップ戦の面白さ,でありましょう。楽しみにしたいと思います。