実戦的なレーティングを。

FIFA基準だけを下敷きにするのは,不適当かも知れません。


 同じように,IAAF基準も“クラス1”を想定してしまうと,ちょっと違ってしまうかも知れません。



 今回は,こちらの記事(日刊スポーツ)をもとにしながら,書いていこうと思います。


 ごく大ざっぱに記事を要約するならば,競技場を検査するときの検査項目を大幅に増やし,各競技場のレーティング,という形で公表する予定である,とのことであります。


 このきっかけはやはり,ACLであります。


 クラブ・レベルで国際試合が開催される,となれば,競技場の基準も純然たる国内基準,ではなく,国際基準を意識した国内基準,というように基準全体を引き上げなくてはいけない,という周辺事情があってのことでありましょう。
 国際的なカップ戦は,どうしてもミッドウィークの開催になります。となると,複数の本拠地を擁するクラブとしては,集客面やコスト面からキャパシティがある程度の競技場で,という発想になりがちでありますが,実際には「国際試合」の開催でありますから,「国際基準」が求められることになるようです。たとえばメディア関連でも細かい規定が置かれますし,選手に関わる部分でも国内基準とはちょっと違う(と言いますか,厳しい)要求がされたりするようであります。そんな国際基準をある程度織り込んでおくことが,これからの競技場には求められる,と。


 たとえば,2002年の開催地を考えてみても。


 最新のFIFA基準を基盤に見直せば,要改修項目が相当にリスティングされると言います。
 観客席をほぼ100%カバーできるだけの屋根を設けていることにはじまり,その屋根の材質に関しても,ピッチの育成への影響を最低限に抑えるための光透過性を持ったものが求められる,などがありますし,リザーブ選手がピッチサイドでアップするときのスペースを備えていることなど,本当に細かい規定が置かれています。


 ワールドカップの単独招致,などを視野に入れているでしょうから,相当に厳しい要求をしていくべき競技場,というのもあるかも知れません。けれども,「普段使い」をしているクラブにとって,そして各競技場を管理している各自治体などにとって,あまりに「過剰」な基準を押しつけるようなことがあってはならない,とも同時に感じます。
 今,実際に競技場へと足を運んでくれているひとたちにとって,実質的なメリットとなる検査項目であり,はじめて競技場へ足を運ぶひとたちにとっては,また足を運びたい,と思わせる魅力を導くような項目を立てていただきたいと思います。そしてクラブがアジア,という舞台を踏むときに余裕を持って相手を受け入れることのできる,そのための検査項目であり,というような「実戦的な」基準であることを,と感じます。