対香港戦(東アジア選手権)。

「勝ち点3」奪取という結果は,確かにポジティブな材料ですが。


 相変わらず狙うフットボールが曖昧だな,と感じます。現任指揮官がこれまでに表現してきたフットボールは,「堅守速攻型」を基盤として「相手の持つ強みを徹底して分析,オン・ザ・ピッチでその強みを徹底して潰しにかかるフットボールではなかったか,と感じます。速攻型,という印象は比較的高めの位置(にセットされていると思われる)なプレッシング・ポイントからの攻撃につながっているか,とは思いますが,必ずしもシンプルな攻撃ではないな,と。どこか,いままでのフットボールから「上積み」を狙っているのだろうことは,大木さんをダッグアウトに,というところからもうかがえますが,まだ最適な落としどころをつかみ切れていない,という印象に,どうしても映ってしまう。


 狙うフットボール,そのコンセプトは悪くない,かも知れません。知れませんが,現段階において「欠けている」と言うか,「表現し切れていない」要素があることは間違いない。


 国立霞ヶ丘での第2戦,香港戦であります。
 いささか遅れて,のエントリでもありますから雑感程度に。


 スコアレスの均衡を,狭い角度からのショットで崩すまでに仕掛けられた攻撃も,それほど悪いものではなかったかな,とは思います。思うのですが,あの攻撃を仕掛けるのであれば,中盤から最終ラインにかけての機動性が「もっと」高くないといけない,と思いますし,単純に高い位置でボールを待つ,という意味でのポジショニングではなくて,ステーションを追い抜き,さらには縦へと飛び出していくような形でのポジション循環が仕掛けていけないと,実際にあの攻撃をフィニッシュ,あるいは相手に対する脅威にはできにくい,という印象を受けます。


 得点奪取への意識が,積極的なポジション・チェンジで表現された,と。


 なるほど,と思わせる要素も確かにあります。
 対戦相手を思えば,ある程度チカラで「勝ちに行く」姿勢も重要です。この選手権を,ワールドカップ本戦に向けたステップとして位置付けるのではなくて,結果を100%求めるトーナメント,として位置付けるのであれば,当然表現すべきフットボールも微調整される必然性があります。
 けれども。仕掛けを強めていこう,という局面で「機動性」のギアが上がらない,というのがいささかもったいないな,と感じます。当然,90分プラスという時間帯をフルに機動性を持ってというわけにはいかないし,そこにはリズムであったりアクセントが関わってくるか,とは思います。


 それでも,機動性をアップさせる時間帯は必要でしょう。
 たとえば,前線に位置するステーションにボールを預けて,そこからの攻撃がどれだけ,「縦」を意識できるか,と。さらには,単純な「見える縦(ポジションが動かない位置へのパス)」ではなく「仕掛ける縦(スペースを狙う選手への,そのスペースへ合わせるようなパス)」をどれだけ仕掛けていけるか,と。
 大木さんがクラブで狙ったフットボール,そのエッセンスは機動性に支えられたものであったとも思うし,代表に関して言えば,前任指揮官が「大前提」として(もちろん,クラブでもそうだったと思いますが)据えていたのも機動性(走ること)でありました。


 相手を揺さぶる,得点を奪取するための「機動性」になっているのかどうか。そういう観点からこの選手権を見ると,(シーズン・インを控えた時期ですし,あまりハードルは上げるべきではないと思うけれど)まだチームとして描く絵が曖昧さを残しているな,と感じます。