精度と課題と(IFM・対ベネズエラ戦)。

時期が時期でありますし。


 課題が出てくる,というのは当然でありましょう。
 ありましょうけれど,相当な目標を指揮官が掲げているのですから,相応に基準も引き上げておかないといけないかな,と。


 ワールドカップ・イヤーの初戦であります。
 対戦相手にベネズエラを迎えての,インターナショナル・フレンドリーであります。


 まずは,対戦相手に恵まれた初戦であったな,と感じます。
 インターナショナル・フレンドリー,という言葉を使うと,どこかに緩さを残したような感じがしますが,ベネズエラはしっかりとスカウティングをすることで戦い方のイメージを詰めていた,という印象であります。

 そのスカウティング,かなり機能したのではないでしょうか。


 対して,の印象でありますが。


 掲げる目標を考えると,コメンタリーを担当されていた清水さん,風間さんも指摘されていましたが,“ルーズ”な局面がちょっと多い,という印象を強く持ちます。どこが,というのではなくて,たとえばパス・スピードが微妙に遅く,相手に狙われやすい,であるとか,ポジショニングの調整に時間がかかってしまうことで、相手のマーキングに遅れを生じるなど,ディテールで小さな緩さが重なっていたような印象であります。

 相手は自分たちから仕掛ける,というよりも,カウンター・アタックから得点機を奪う,というアプローチでゲームを進めているように感じられ,チームが前掛かりになってくるタイミングを狙っていたように映ります。その狙いに,前半ははまりかけもした。センターが相手ボール・ホルダーを追い掛けるような形でベース・ライン近くにまで守備応対を,という局面をつくってしまった。
 守備応対面,というよりは,攻撃面がしっかりとフィニッシュで終われない,ということであったり,ボール・コントロールを失う地域,タイミングがよくない,ということでもありましょうが,バランスが必ずしもよくはなかった,と感じるところです。

 攻撃面では,比較的右サイドからの仕掛けには「継続性」を感じられましたし,ミッドフィールドでの変更がポジティブに作用しているな,と思わせる局面も,確かにありました。
 けれど,ホール奪取に厳しく入ってくる相手に対して,ボールの収め方,と言いますか,動かし方が足許方向の時間帯が多くて攻撃リズムが寸断される,という印象でありました。


 ・・・ファイナル・スコアとしては,0−0。


 得点奪取,という側面だけを取り出せば収穫ゼロ,という言い方もできます。
 けれど,立ち上がりから戦い方を相当程度に封じられたときに,どのような仕掛けの修正であったり,さらなるラッシュをかけるのか,など,「実戦的な課題」を提示された,という意味では結構な収穫があった,と言うべきかも知れません。
 まだ,フィジカルであったりが実戦仕様に上がりきっていないはずの時期に,かなりの負荷が掛かっただろう,とは思いますが,決して悪くないIFMだったのではないか,と思います。