積み上げてきた歴史。

“テスティモニアル”の開催には,結構なハードルが存在します。


 かの「ベスメン」規定で知られるJリーグ規約,この規約に「引退試合」に関する開催条件が規定されているのです。そして,この規定を充足することのできる選手は,ごく限られています。

 実際に引退試合を開催している選手たちを思い出してみると,ブルーのユニフォームの記憶も強いし,当然在籍していたクラブ,そのホーム・キットの印象も強いものがあります。それだけの存在感があった,と言えるでしょう。
 そのことは確かだと思うけれど,規定される開催条件から外れている選手だとしても,印象に残る選手は多くいるはずだし,彼らに対しても相応しい舞台というのはあっていいはずです。

 中心選手であったか,それとも違うのか,というのはそれほど大きな意味を持たなくて。
 誰しもが,フットボール・クラブとしての歴史に関わってきた功労者,という見方もできる。
 その歴史に,思いをはせるときがあってもいい。


 今回は,清尾さんのコラム(Wepsうち明け話)をもとに,ちょっと短めに。

 浦和にとって,現在の本拠地は「中野田」です。けれど,歴史を長く刻んできた場所は,という聞き方をすれば,その答えは「駒場」へと変わるはずです。その駒場で開催された,OBマッチ。
 残念ながら,当日は所用が重なり,足を運ぶことはできませんでした。


 けれど,西野さんや水内さんのブログなどを読むと,駒場の雰囲気は感じ取れるような気がします。
 どこか,「同窓会」のような穏やかな空気,といいますか。

 フットボール,という「競技」を考えるならば,リーグ戦だったりカップ戦,公式戦が持つ緊張感に勝るものはない,という感覚を確かに持ちます。
 ただ同時に,“マイ・クラブ”がある幸せ,というのは公式戦だけで感じられるものでもないだろう,と思ったりします。


 クラブを追い掛けてきた時間が長いか,それとも短いか。


 そういうことには関わりなく,クラブが積み上げてきた歴史,そのどこかに関わってきているのは確かです。そして,クラブに在籍した選手とは,どこかで時間を共有しています。駒場かも知れないし,中野田になるのかも知れないし,あるいは大原かも知れません。
 そんな時間を,思い出したりするいい時間だっただろうな,と思うのです。


 西野さんや水内さんは,このOBマッチを定期的に,という思いを持っておられるようです。クラブが積み上げてきた歴史を,実感できる機会が,オフ・シーズンにでもあってくれれば,“フットボール・クラブ”が街にある,その幸せがもっと深くなるかな,などと思うのです。