勝って終わるために。

冷静に言うならば。


 2009シーズン,フットボール・スタイルに大きな変更をかけました。


 新たなフットボール・スタイルを,どこまで表現できるか。2010シーズンにキャリーしてしまった課題,表現しようとして表現しきれなかった要素は何か。その課題をクリアするためのヒントを,実戦から見出すことができるか。


 シーズンを基準とするひとつの通過点にして,1ゲームを基準とする積み重ねとして,大きく重要なチェックポイントが,今季の最終戦である,と。


 開幕節と同じ対戦相手が,最終節の対戦相手であればこそ,そんな位置付けができるはず。そんなことを思っていたりしますが。


 ・・・リーグ最終節であります。


 リーグ戦は終わるけれど,まだマッチ・スケジュールは終わっていない。なんて状態ではありませんから,リーグ戦の最終節がそのまま,2009シーズンの最終戦,であります。


 であれば,冷静にというだけでは終われません。


 「勝って終わる」ということに,徹底してこだわってほしい,と思います。


 乱暴な言い方をしてしまえば,リーグ優勝の行方など知ったことではない。狙うべきは,眼前のゲームで「勝ち点3」を奪取することのみ。


 そして,「勝ち点3」を奪取する,という部分にここまでの蓄積が見えるといい,と思うのです。2009シーズンだけの蓄積,ではなくて,これまでの蓄積,です。


 的確なスカウティングを施してきた相手に対して,戦術的な微調整が効かなかったがために,失速を喫した。そのときには,蓄積が「違った方向」で使われてはいなかったか,と。ライン・コントロールを緻密に,という部分が抜け落ちてしまえば,マン・オリエンティッドな守備を,と思っても「追い掛ける」形から抜け出せない。にもかかわらず,低く構えていたときのようなディフェンスだったように映ったわけです。


 むしろ,引き継いでいかなければならないのは,「仕掛けるべき時間帯」でボールを確実にゴールマウスに沈めてくる,という意識であったり,相手を抑え込む時間帯にはチームとしてしっかりとしたユニットで守備応対をしていく,という守備意識であったり,ではないか,と。


 フットボール・スタイルとして,継承する部分が少ないとしても,「戦う意識」に継承するべき部分がない,などということはないはずです。


 今季,狙うフットボールが大きく変わったことで,意識までもが抑え込まれたように感じた。そんな要素こそ,本来は「継承」されて然るべきではなかったか。


 いい意味で,「かつての姿」を見られる最終戦であれば,と思っています。