対磐田戦(09−32)。

可能性は,薄いかも知れない。


 知れないけれど,ゼロではない。ゼロになっていない限りは,可能性を求めるのは当然のこと。


 少なくとも,「勝ち点3」を積み重ねていくことが,可能性を少しでも高めていくための,重要な前提条件になる。自力と他力の要素が絡み合うリーグ戦であれば,他力を呼び込むためにも自力で奪取できるものは,奪取を狙い続ける。


 「消化試合」という言葉を持ち出せば,持ち出せるかも知れないが。


 そんな言葉を持ち出す必要は,ない。


 ということで,まいど1日遅れではありますが,磐田戦であります。


 44:59で表示を止めるゲーム・クロックが,1/100秒までを表示するカウントダウン・タイマーに見えてしまうようなアディショナル・タイムでありました。


 痺れる展開ではあったのですが,痺れる展開に「持ち込んでしまった」,というゲーム・コントロールに問題を求める必要も,あるかも知れません。


 前半,いい時間帯で先制点を奪取する。


 ゲーム・マネージメントをスコアという側面から考えるのであれば,悪くないとは思います。思うけれど,リズムを引き寄せるという側面においては中途半端さが残ったのも確かです。


 ポゼッションを基盤としながら,攻撃を構築する。そして,2009シーズンを通じて意識してきたのは,アウトサイドから攻撃を構築すること。


 先制点を奪取した時間帯は,アウトサイドを起点をする縦への突破から,シンプルにトラバースをセンターへと繰り出し,そのトラバースへ的確に反応する形でのフィニッシュ,という2009スペックが志向する戦術的イメージがピッチに明確に表現されていました。ただ,シーズン終盤にあっても戦術的なイメージが表現できる時間帯が,限定されてしまっている,という印象が残っているのも確かであり,ゲームを大まかに2分割するならば,前半は中途半端な形で攻撃面を表現している時間帯が多くなってしまっていたように感じます。アウトサイドから攻撃を構築する,という要素は確かに表現できている。けれど,その攻撃がセンターに構えている相手守備ブロックを揺さぶり,決定的な局面へと持ち込んでいく時間帯が,ちょっと少なかったように感じられます。


 リズムを掌握しているようで,掌握しきれてはいない。


 攻撃面,特にセンター付近でのバランスを崩さなかった相手守備ブロックを揺さぶっていくアイディアを表現しきれなかったことが,リズムを手放すひとつの要因になったように感じるところもあります。


 そして,当然ながら守備応対面での問題も指摘されるべきでしょう。


 ボール・ホルダーを「追い掛ける」形での守備応対に持ち込まれてしまっていること。マークを外してはならない選手へのマークが,ずれてしまうこと。特にセットピースからの守備応対で,マークが外れてしまうこと。時間帯からすれば,それほど長い時間帯ではありませんが,2009シーズンを通じての課題がそのままキャリーされた時間帯だったようにも感じます。


 とは言え,今節はここからリズムを取り戻していったのも確かです。ボール・サイドに相手を寄せてから,オープン・サイドへと大きく展開する。パスを収めたボール・ホルダーはスペースを駆け上がり,シンプルにクロスを繰り出していく。ビハインドを背負った,という要素が攻撃面での「意図」を明確化させたようにも感じます。スペースを積極的に狙う,と言いますか,パス・レシーバに対してスペースへと積極的に飛び出していくことを求めるようなパス,という側面ではまだ抑えられている部分もあるけれど,パスで相手を揺さぶりに掛かる,という意図は明確に表現されるようになった。


 動的なパッケージから見れば,「いつかどこかで」な形になってはいました。けれど,ゴール奪取への意識がリフレクトを呼び込んだことも確かですし,角度の浅いところから積極的にフィニッシュを狙う,という姿勢がゲームをイーブンへと引き戻すきっかけになった。ゴール奪取,「勝ち点3」への意識はアディショナル・タイムにあっても途切れなかった。そして,「勝ち点3」を掌中に収めるゴールへと結び付く。


 ・・・確かに,スペクタクルな展開でありました。


 同時に思うのは,チームがポジティブな流れを再びつかむ,「大きなきっかけ」になってくれるのではないか,ということです。今節の「勝ち点3」によって,ポジションを引き上げていくことに成功しました。「自力で」アジアへの切符を奪取しうるポジション,そこへの勝ち点差という意味では厳しさがあるのは確かだけれど,切符を確保し得るポジションに付けている,とも見ることができるか,と。


 シーズンに残されるゲームは,あと2ゲーム。できることは,「勝ち点3」を着実に積み上げていくことだけ。その先にあるもの,その存在をよりリアルに感じられることになった,というのが,今節における最も大きな収穫かも,などと思ったりします。