第89回全国高校ラグビー埼玉県予選(4回戦概論)。

「さすがは,Aシード。」


 そう思わせるゲームでありました。


 大ざっぱな言い方をすれば,「動じない」戦いができている,と。
 リズムを掌握される時間帯があったとしても,その時間帯を決定的なものとはしていない。クリティカルな局面で相手を抑え込むと,ゆっくりゲームを自分たちのリズムへと引き戻しにかかる。
 “ゲーム・マネージメント”の巧緻さが,ひとつの要素だな,と思うところです。


 さて。今回はフットボールでもラグビーフットボールであります。
 高体連ラグビー専門部さんのページをもとにしつつ,4回戦をまずは俯瞰してみよう,というわけです。


 準決勝へと駒を進めたのは,県北勢のAシードである深谷正智深谷であります。
 対する県南勢では慶應志木に浦和がAシードであり,しっかりと勝ち上がってきたわけです。
 でありますれば準決勝では,深谷慶應志木に浦和−正智深谷,と見事に県南勢と県北勢,伝統的な強豪校と強豪への階段を着実に上がってきた高校との対決,という図式となりました。


 順当すぎるほどに,順当な結果,と言うべきでありましょう。


 ただ,対戦相手と決定的な差が,というのもちょっと極端かな,と。準々決勝だけで考えるならば,“チャンス”はあったかも,と思うわけです。
 とは言いながら,トライを奪取できるかどうか,という局面での厳しさであったり,正確さ,という要素ではAシードとの「僅差」はあるな,という印象を持ったのも確かです。たとえば,相手が仕掛けてきた時間帯をコントロールし,自分たちのリズムへと持っていったのが深谷ならば,相手にコントロールされる時間帯を作らない,という意図をフィールドに表現できていたのが,慶應志木,という感じでありましょうか。


 ひとつひとつのゲームに関しては,追って書いていくことにします。