繰り返されつつある(かも知れない)迷走劇。

シーズン開幕直前に感じた,ちょっとした不安感。


 その不安感が,現実になりつつあるな,と。それはつまり,「いつか来た道」をトレースしつつある,ということになりはしないか,と。


 ・・・アウトサイドからの,推理ですけどね。


 さて,日刊スポーツさんの記事をもとに,ひさびさの欧州版なフットボールの話であります。


 レアル・マドリーの現任指揮官である,マヌエル・ペジェグリーニ


 どうも,解任説が燻りつつあるようで,彼が指揮権を掌握し続けることができるのか,不透明な状況になりつつある,と。コパ・デル・レイスペイン国王杯)初戦において,セグンダディビシオンB(グループ2)を戦うアルコルコンに対して0−4,という結果に終わったことが直接的な原因であるようですが,この“Great Upset”だけが主因か,と考えるとそれもまた,微妙に違ってはいないかな,と思います。


 主力を投入しながら,足許を見事なまでにすくわれる。「いつかどこかで」見た図式と,ほぼ相似形でありますが。マドリーに関して言うならば,「歴史にも学ぶ」ほうが理解しやすいかな,と。


 フロレンティーノ・ペレス,彼の第1次政権期であります。


 このときは,「クラブとして」どのようなファースト・チームを構築していくのか,という明確な将来像が描かれていないように感じました。強いて言うならば,ピッチを出発点とする設計図ではなくて,マーケティング戦略という“ペーパー”を出発点とする設計図をもとに,チーム・ビルディングをはじめてしまったかのような印象を受けたわけです。


 結果として,何が起こったか。ファースト・チームから“ディシプリン”が失われたように感じられます。ディシプリンを持ち込もうとした指揮官は指揮権を剥奪され,調整型の指揮官にチームを委ねざるを得なくなった。さらに,戦力的な不均衡が加速することで,チームが表現してしかるべきパフォーマンスに悪影響を及ぼすようにもなった。その初期段階,として見ることもできなくはない,と思うのです。


 もちろん,セグンダディビシオンBを戦うクラブに,“UPSET”を実現させてしまうことは屈辱以外の何物でもないでしょう。カップ戦初戦は特に,違うディビジョンを戦うクラブとの対戦が多く想定されますし,モチベーション,という部分でコントロールが難しい側面もあります。相手のモチベーションは間違いなく高く,そのモチベーションを真正面から受け止めてしまえば,必要以上に試合を難しくもしかねない,と。であれば,いつも以上に慎重,でも緻密なチーム・ハンドリングが求められるはずですが,そのハンドリングを間違った,と,少なくとも結果からは判断されてしまう。


 話をここだけで完結させれば,それほどの違和感を持って受け止められることでもない,とは思います(それでも,結果を求めるに性急すぎる,という見方もありましょう)。思うのですが,ファースト・チームをどのような設計図をもとに組み立てているのか,そしてどのようなイメージを持ってチームを指揮官に委ねているのか,不透明さを感じる部分も感じたりするのです。


 タレント集団であればなおのこと,チームには「柱(原則)」が求められるはずですし,メンタル・マネージメントには緻密さ(繊細さ,とも言えるかも),そして厳しさが求められもするはずです。