ゲーム・インテリジェンス。

典型的な“UPSET”。


 アルウィンでは,“GREAT UPSET”という失態を演じたわけですが。
 スポーツ・ニュースでのダイジェスト(と言うにはいささか短いダイジェストでしたけれど)では,連敗を喫していた時期のデッド・コピーと見紛うばかりのカウンター・アタックを受け,先制点を奪取される場面が映し出されていました。


 心理面が作用したのか,それとも不安定さを消し切れていないのか。浦和対策を徹底してきていただろう,松本山雅FCに対して隙を見せたように映ります。


 対して高校ラグビーでの浦和は,どうしても生じる「隙」までも,徹底的に潰すかのようでした。


 Cグラウンドは,「観客席」が設けられてはいません。グラウンドに隣接する道路,その道路とグラウンドを分かつフェンスがちょうどいい手すりになるくらいですし,反対側には芝生のバンクが設えられているだけです。ダッグアウトも,ちょっとした屋根が架けられているだけのもの。それだけに,監督のコーチングもバッチリ聞こえたりするのです。


 ということで,フットボールでもラグビーフットボールな話であります。


 今回,アルウィンという選択肢を取らず,Aグラウンドでのプレー権を賭けた県予選3回戦を見に行った,というわけです。


 ゲームについては追って触れよう(複数の試合をチェックできていますので,その試合を書いていこう,と思っています。)と思いますが,今回は,ちょっと印象に残ったことを予告編として。


 浦和が,強豪校としての階段を,着実に上ってきている。そんな実感は,ここ数季の戦績を見れば明確です。
 ステップをどのようにして上がってきたのか,個人的にも興味があったのです。ひょっとすれば,物理的に観客との距離が近いCグラウンドならば,何らかのヒントが得られるかも知れない。そんな予感を持っていたわけです。


 もちろん,フィールドからすべてを感じることはできません。それでも,「ともすれば」と思わせる要素は,感じることができました。
 ごく大ざっぱに言ってしまえば,タイトルにも掲げた“ゲーム・インテリジェンス”を徹底しているのだろう,ということです。
 具体的には,立ち上がりの時間帯からのコーチングであります。具体的な戦術に関わるコーチングですから詳細について書くのは避けますが,要はフィールドに立っている選手に「考えさせている」ように受け取れたのです。
 プレーの選択そのものに対して厳しい指摘をする,監督の意図を選手に徹底する,というニュアンスではありません。もちろん,言外に叱責という意味も含まれはします。しますが,それ以上に選手に対してなぜそのプレーを選択したのか,相手の位置,パス・レシーバの位置関係を把握した結果として,ほかに取り得る選択肢はなかったか(相手ディフェンスになぜ引っ掛かることになったのか),などということを考えさせようとしているように受け取れたのです。
 さらに,リザーブの選手を複数呼び,戦術的な確認を綿密にしている。ハーフタイムを挟み,後半立ち上がりの時間帯から投入する,という意図を伝え,そのうえで相手に対してどのような仕掛け方をしていくか,恐らくは指示をしているのでしょう。


 考えさせることで,プレーの連携度を高める。考えさせることで,局面に応じたプレーを引き出す。


 Cグラウンドでの姿は,強豪校としての階段を上がってきた,その一端を垣間見たように思えるのです。