第89回(2009)高校ラグビー埼玉県予選(3回戦展望)。

しっかりと踏み止まってみせた,と言うべきでしょうね。


 仕掛けなければならない立場に,相手はある。試合開始(実際には長いインターバルを経た再開,と言うべきか)直後,反撃の手掛かりをつかんだかに見えたけれど,ゲーム・クロックに残された時間は決して多くはない。


 難しいゲームを,コントロールしてみせたこと。これは,確かに意味あること,かも知れません。


 ・・・タイトルとはまったく関係ない,再開試合についてはこの程度で。


 そうではなくて,高体連ラグビー専門部のページをもとにしながら,高校ラグビーの話であります。


 さて。埼玉県予選は2回戦が終了した段階であります。Bシードがトーナメントに参戦してくるタイミングであって,Aシードへの挑戦権を奪取するタイミング,であります。


 そこで,トーナメント・ドローを眺めてみますと。


 強豪校,という形容詞から「古豪」という形容詞に変えないといけないチームがあることに,ちょっとした驚きを感じます。熊谷工,であります。
 かつて,全国制覇までを経験したチームでありながら,2009シーズンはノンシードとして県予選を戦う。1回戦は,確かに実力差を見せ付けるかのようなファイナル・スコアだが,2回戦ではBシードである川越に屈する。
 もちろん,高校チームが実力を維持するのは難しいことです。私立であるならば,ある程度のフリーハンドを手にすることもできましょうが,公立校には「校区」という制約が掛かりますし,同じ県北エリアには強豪校が複数あります。地盤沈下を起こす可能性は,少なからずあると言うべきなのでしょうが,それにしても,かつての姿を知る立場としては,寂しい思いをするところがある,というのも確かです。


 とは言え,トーナメントとしては面白さを増した,とも言えるでしょうか。


 3回戦での対戦カードをちょっと抜き出してみますと,


     深谷(A)−松山

     川越東 −川越(B)

     進修館(B)−川越工

     春日部−慶應志木(A)

     浦和(A)−伊奈学園

     早大本庄−熊谷(B)

     所沢北(B)−大井

     立教新座正智深谷(A)


であります。


 県北の強豪校OBとしては,どうしても虚心坦懐,というわけにはいきません。でも,ラグビー・フリークとしては違った見方もしたくなります。
 ここ数季,ノンシード勢に注目してきた立場からすると,伊奈学園や立教新座の駆け上がり方はなかなかに期待を持たせるものがあるな,と感じます。加速態勢,と言って差し支えないような上がり方をしていますから,トーナメント初戦となる浦和,そして正智にとっては「入り方」を間違えてしまうと,難しさを見せることにもなりかねない,などと思います。
 反対側から見れば,指定席切符を射程に収めようというチームがAシードとして指定されているわけですから,いい緊張感を持って初戦に臨むことができる,その意味で絶好の相手が勝ち上がってきた,という見方もできようか,と。


 花園でも,似たような印象を持っていますが,シード勢が登場してからのトーナメントは,ギアが変わったような感じを持ちます。
 今季,そのギアが変わった感じを最も強く感じさせるのは,どのAシードか。そして,ギアを変えさせるのは,ノンシードから勝ち上がったチームでもある。


 ラグビー・フリークとしては,楽しみな季節がまた来たな,という感じであります。