対川崎戦(09−26A)。

原理原則は大事だけれど,その調整幅も大事だったりする。


 ちょっとばかりキャッチフレーズなまとめ方をすれば,こんな感じかも知れません。


 2009シーズン型のフットボール。その基盤を,まったく無視するようでは意味ないけれど。


 基盤だけに固執して,相手のフットボールに対応した調整を施さない,というのも,これまた問題だったりする,と感じます。「穴」に嵌り込んでいた時期には,重要な基盤であるフィジカルが落ち込んでしまって,100%のコンディションに戻らないままに高い機動力を要求するフットボールを押し切ろうとした,という部分も影響していますが,自分たちのフットボールにこだわりすぎ,と言う以前に「形だけ」のフットボールになっている時間帯が多かったような印象を持っています。


 さらには,スカウティングがフットボール・スタイルの調整に寄与していなかった,という側面も感じました。スカウティングからどのように戦術を調整するのか,であったり,相手の攻略ポイントを的確に突く,という姿を見ていなかったように感じるわけです。


 その印象,違ってきました。まいど1日遅れでありますが,川崎戦であります。


 限定的な印象にとどまりますので,ごく簡単に。


 今季から志向しているフットボールは,確かに攻撃面にウェイトを傾けたものです。4−4−2,とクレジットされてはいるものの,実際には4−2−3−1と言いますか,ウィンガー・スタイルとも表現できる4−3−3を主戦として,トップとアタッキング・ミッドフィールドがポジションを流動的に変化させながら,攻撃を構築,さらにセントラル,SBが攻撃面のバックアップにあたる,というものであります。


 この基盤を,「相手に合わせて調整する」ことができてきたな,と感じるのです。


 リーグ戦にあっても,「カップ戦的な時期」というのは確実に存在します。「勝ち点3」を奪取することが,シーズンの戦い方そのものに大きな影響を及ぼす試合,であったり,チャンピオンシップを争うにあたっての,いわゆる「勝ち点6」に相当する試合などが当てはまるか,と思いますが,そのときにはどうしても,フットボール・スタイルの調整は必要ではないか,と思うのです。


 リアリスティックに,相手のストロング・ポイントを消し去る。と同時に,自分たちのフットボール・スタイルを逆襲という側面で生かす。


 確かに,かつての戦い方と共通する要素を持ってはいますが,「相手の展開するフットボールに対応するゲーム・プラン」を組み,そのプランに沿ってゲームを組み立てる,という部分は,3か4か,シンプルに縦を狙うのか,それともパスで相手を揺さぶるか,ということを離れて,必要な要素でありましょう。


 「勝ち点3」を奪い取るためのアプローチ,という現実的な要素と,自分たちが狙うフットボールを熟成させていく,という要素と。この2つは,相反するものではなくて,調整幅の中に収めるべきものである。バランスさせるべきもの,でありましょう。そのバランスを,試合に応じて変化させられる柔軟性が,今節での大きな収穫であり,もちろん「勝ち点3」という数字も大きな意味を持つものと感じます。