やはり原点回帰、なSLS AMG。

スポーツの香りを漂わせる,正統派SL。


 個人的には,そんな感想を持ちます。レトロなデザイン・キューを相当に盛り込みながら,単なる懐古調ではない。レトロ・モダンとして,しっかりまとめたな,と思います。



 スタイリングに関しては,「ヒント」程度しかリリースされていなかった段階で,こんなエントリを書いて,個人的な推理をめぐらせてみました。そして今回,スタイリングについてもオフィシャル・フォトがリリースされました。ということで,前回に引き続きSLSの話であります。


 このオフィシャル・フォトはwebCGさんから引っ張ってきたものですが,巧みにW198のイメージを引き継ぎながら,同時に現代的なディテールを持ち込むことでモダンな印象も持たせています。


 サーキットと,オープン・ロードとの関係が近かった時代。そのころのSLが持っていた雰囲気を漂わせることに成功している,と感じます。


 リア・セクションからデザインを見ていきますと,ラゲッジ・スペースへのエッジの立て方はモダン・デザインの文脈なのですが,バンパー・サイドの緩やかな曲線はオリジナル・デザインからの引用でありましょう。オリジナル・モデルのリア・セクションはどこか,クルマというよりも木製モーターボートが持っている曲線美を思い起こさせるもので,優美さを表現する大きな要素でもあったように思うのです。そのデザイン要素が,上手に落とし込まれているな,と思います。


 オリジナルとモダンのバランス,というのはフロント・セクションにも生かされています。


 中央で存在感を示しているエア・インテークと,ライト・ハウジングとの位置関係はオリジナルとの共通性を強く感じさせますが,ライト・ハウジングは空力特性などを意識してでしょう,それほど大きいものではありません。また,曲線ベースの面構成だけをするのではなくて,エッジをアクセントとして巧く取り込んでいます。レスポンスさんでは,SLSのスペックも紹介されていますが,環境面にも配慮しているスーパー・スポーツという立ち位置なのは間違いないようです。


 それにしても,なかなかにインパクトのあるプライス・タグが予定されているようです。オリジナルが与えたインパクトも相当だったと聞きますが,このモデルも同じようなインパクトを与えることになるでしょうか。