アーセンの延長戦。
いつもならば,試合前のエンターテインメントであります。
敵将への敬意,その(いささか屈折した)発露か。それとも,単なる敵意の発露か。いずれにせよ,ビッグ・マッチを彩るエンターテインメント,ではあるでしょう。
彼らもどこか,「意識して」仕掛けているように映ります。ある意味,「阿吽の呼吸」が作用しているようにも感じるのです。どちらが仕掛ける,というでもなく,自然に突っ掛けていくし,その仕掛けを受けて逆襲を仕掛けていくと。
そういう構図,今回はちょっとばかり違います。
今回は,スポーツナビのニュース記事をもとに,ちょっと短めで。この記事のもとになった(と思われる)のは,アーセンのコメント(アーセナルFC・スポーツナビ)であります。
確かに,レフェリー批判を強くにじませるコメントではあります。
自身の退席処分,その後の経緯は同情すべきところでしょう。確か,オールド・トラフォードはダッグアウト近くの通路は使っていなくて,プレイヤーズ・トンネルを使ってロッカールームとピッチを結んでいたはずです。となると,そう簡単にはロッカールームには行き着けません。レフェリーとしては,ダッグアウト(テクニカル・エリア)以外に行ってもらいたい,そこでスタンドへ,と指示したのでしょう。
けれど,ピッチサイドからスタンドへアクセスしやすい競技場というのもそうそうない。イングランドの競技場は結構アクセスしやすいと思いますが,スチュワードが警備しているはずですし,逆方向であってもなかなか通れないでしょう。
結果としては,階段でアピールしていたわけではありますが。
退席処分に関しては,何らかの対応がリーグ・サイドからはありそうですが,それはそれとして。
アーセンのコメントを読んでみると,経験不足や連携不足という言葉が出てきます。同時に,冒頭には“better team”という表現もありました。フットボールという部分で満足できる要素もあるけれど,ゲーム運びとして冷静さが足りない。そして,冷静さを失う要素として,レフェリングも作用していたのではないか,と言いたいのだろう,と感じるコメントであります。
敵地である,オールド・トラフォードでリードを奪い,ハーフタイムを迎える。ゲーム・コントロールとして悪くありません。となると,後半45分をどのようにして戦うか。アーセンもコメントしているように,オールド・トラフォードでゲームを支配し続ける,というのはなかなかに難しい。フットボールという競技はどうしてもミスとお付き合いしなければならないし,オールド・トラフォードを本拠地とするクラブは,相手が犯したミスを見逃してくれるほどに優しいクラブでもありません。プレミアシップ・ポイントを奪うチャンスを逃してしまった,チームを厳しい試合を通して成長させられなかった,という思いが,アーセンを延長戦へと駆り立てた,のではないか,と個人的には思います。