対広島戦(09−23A)。

相手のスカウティングへの対策も,確かに重要な要素なのですが。


 チームとして描くべきピクチャーが,ぼやけてはいないか。ひとりひとりの選手が持っているイメージに,ズレはないか。


 スカウティングへの対策,戦術的な応用をする以前の問題として,戦術的な基盤に大きなぐらつきがある。そのぐらつきをどう抑えるか,が先決課題だろうと。


 広島戦であります。今回は,ごく短めに。


 心理的な悪影響があるのか,それとも悪循環が理由か。いずれにしても,ピッチで描こうとするフットボールが曖昧になっています。どこかひとつの要素が機能を落としている,というのではなくて,複数の要素が絡み合う形で悪循環へと作用している,と感じるわけです。


 フィットネスが戻りきらないことで,ポジショニング・バランスに影響を及ぼす。チーム・バランスがポジショニング・バランスの悪化によってズレを生じ,攻撃ユニットへのサポートが薄くなる。攻撃ユニットへのサポートが薄くなると,どうしてもパス・コースを開けるための「時間」を必要としてしまう。その「時間」は,相手がボール奪取を狙う好機となる。


 さらに,意識という部分でもズレが出てきている。攻撃面に意識を傾けるがために,守備意識に影響を及ぼす。逆に,守備面を意識するがために,コンパクトネスであったり距離感に影響を及ぼす。


 整理すべき要素が積み重なってしまっている,と感じます。結果,チームが狙うフットボール,その姿が複数描かれてしまっているかのような印象を与えもするし,攻撃においても,守備においても「形」を描き出すことができなくなっている。


 ・・・比較的小さなエリアでの数的優位。


 “コンビネーション”という言葉を解釈すれば,こんな意味合いを呼び出すこともできるでしょう。となれば,ボール・コントロールを失ったときはこの小さなエリアでボール奪取を仕掛けることが求められる。はずですが,ここ数節,距離感が悪化しています。


 チームとしての連動した上下動が表現できないから,距離感が狂いを生じる。戦術的な意図を持たない「上下分断」をつくってしまっては,数的な優位をつくりながら攻撃を組み立てていくことは難しい。


 チームとして「戻るべき場所」が曖昧さを増しているのだから,最優先とすべきは「戻るべき場所」を徹底し直すことでありましょう。そして,チームが意図を持って上下動できる状態を取り戻すこと。次節までの1週間は,今季を決定付ける重要な時間になるか,と感じます。