対柏戦(09−22)。

チーム・ビルディングで足踏みしてしまっているから,順位的に後退する。


 ポジショニング・バランスを意識しながら,メリハリを意識したフットボールで,厳しい時期を乗り切ろう,という意図があるのかも知れませんが,その意図ゆえか,もともと今季狙ってきたフットボールまでもが抑え込まれ気味になってはいないかな,と感じるところがあります。


 厳しい時期だけれど,原点回帰が必要でしょう。ゲームまるごと,ではなくて,時間帯限定であったとしても。


 まいど,1日遅れであります。柏戦,であります。


 流れを引き寄せている時間帯に,「攻め倒して」いけない(=得点を奪取できない)と,相手の描いているゲーム・プランに乗せられかねない,と。流れを決定的に手繰り寄せきれない,というところに,チーム・コンディションの悪さ,と言いますか,嵌り込んでしまっている悪循環の深さを感じるところではあります。


 ポジティブに見るならば,この流れをつかめるとチームが浮上するきっかけになるはずで,その意味では「紙一重」なのだけれど,という思いもあります。ありますが,それよりも09スペックの原点が欠け落ちているな,と感じてしまいます。


 パス・ワークだけが,ここ数節目立ってしまっています。数的優位を構築する,という要素が薄くなってしまってはいないか,と思います。アウトサイドでの数的優位,という戦術的意図が見えづらくなっています。そこからセンターや,オープン・スペースへとボールを展開するという意識も。


 相手を引き付け,スペースをつくる。そのスペースへと走り込んでいかないと,数的優位という要素は意味を持たなくなってしまいますが,機動性が落ちてしまっているから,どうしてもスペースが突けなくなる。すると,パスだけで相手守備ブロックを揺さぶろうとする形に傾いてしまう。さらに,ボール・コントロールを失った局面での距離感を考えると,相手ボール・ホルダーへの数的優位をつくれるだけの距離感にはなっていません。アプローチが遅くなってしまえば,そのままボール・ホルダーに時間を与えてしまう。そんな距離感であるような印象です。加えて守備応対面を取り出せば,まだ08シーズン以前の意識でボール・ホルダーへのアプローチを仕掛ける局面が見えたりします。トップ,中盤がルーズに守備応対をしてしまうと,そのシワは明確に最終ラインへと寄ってしまいます。


 相手のスカウティングは,相当に的確です。


 もちろん,スカウティングに対応した戦術的な調整も重要な要素です。シーズン序盤での機動性を,高温多湿なコンディションで維持し続けるのはチームにダメージを与えかねません。ただ同時に,09スペックの基盤である要素を徹底し続けることもまた,重要な要素であるように思います。


 ちょっとした局面で見せる,08スペック以前の浦和の姿。


 チームとして「戻るべき場所」が,4を基盤とする09型で定着しきってはいないことが,見えてしまっているように感じます。いまのチームが「戻るべき場所」は3当時の姿ではなくて,09シーズン序盤の姿です。この「原点」を,徹底して意識し続けることが最も大事なことでは,と感じます。