追加競技候補、セブンズについて。

ともすれば,RWCよりも可能性を持っているかも知れません。


 大西さんが持ち込んだアイディア,そのアイディアを生かしやすい環境ではないかな,と思うのです。


 8人選手が減るにもかかわらず,フィールド・サイズは変わらない。
 フィジカル・コンタクトが勝負にかかわる,という局面は(相対的にであるとしても)少なくなります。俊敏性だったり,機動性が活かせる形に持ち込めるはずだ,と。


 それだけに,実質的な強化策が求められるところです。


 ひさびさに,楕円球な話を時事さん配信のニュース記事(スポーツナビ)をもとにしながら。


 オリンピックに追加されることが有力視される,セブンズ(7人制ラグビー)。


 導入時期は,東京が招致を狙う2016年からでありますから,強化プランはいまから描いていたとしても早すぎることはないし,むしろ早急に動き出す必要がある話,かも知れません。


 そこで,真下さんのコメントが記事としてまとまってきたわけです。


 現状においては,セブンスを専門とする選手,というのではなくて,15人制をベースとしながらセブンスに求められる資質を持っている選手をセブンスへと引っ張ってくる,という形になっていますが,ある程度セブンスに軸足を置いた選手を,と考えているようです。
 そのために,国体でのラグビー競技を15人制から7人制へと移行させるなど,実戦機会の確保を意識しているように感じます。


 セブンズ代表は,村田さんと岩渕さん(選手兼任コーチ)という体制です。
 ワールドゲームズ2009(JRFUオフィシャル)では,7位というポジションを得ましたが,ゲームの主導権をどう握っていくか,などという部分ではまだ可能性を残しているように感じます。
 国際試合,という意味でセブンスの実戦経験を得た選手たちが,これからの中心となってくれるといい,と思います。


 そして,新たな戦力が上乗せされてくると,さらにいい。


 フル・サイズのフィールドを使って攻撃を仕掛け,守備応対をするわけですから,どうしても機動性は重要な要素になりますし,相手の守備を断ち割るためのイマジネーションも大きな意味を持ってきます。
 岩渕さんのようなパス・センスであったり,ハンドリング・スキルを持った選手であり,大畑選手のような縦への鋭さを持った選手が実戦機会の中から出てくると勝負権をつかめるかも知れない。そんな期待を持っています。


 ・・・ラグビー・フリークとしては,「候補競技」とは言え,相当な可能性でオリンピックへと追加されることはうれしいこと,ですが。


 どうも,スッキリとした思いにはなりにくい。ちょっとばかり,ポリティクスが気になるわけです。


 いささか長くなりますので,ちょっと折り畳ませていただきます。


 基本的にIOCの立脚点は欧州です。


 シックス・ネイションズに代表されるように,欧州でのラグビーフットボール,その存在感は結構なものです。また,欧州だけが強さを持っているのではなくて,南半球勢も相当な存在感を持ったコンテンダーである,と。
 MLBがUKでプロモート番組を制作したり(実際にロンドン在住中に見たことがあります),フランスではかつて阪神の監督を務めた吉田さんが普及に携わるなど,欧州でのプロモートをしていなかったわけではないのですが,野球が欧州ではマイナーである(強豪が出てきていない)というのは,IOCにとって望ましからざる状態だったのでしょう。


 コスト圧縮,という流れにも親和性があります。


 セブンスは,基本的にフットボールを開催する競技場での開催が可能です。10mラインから22mラインまでの距離,加えてインゴールの広さを調整すれば,フットボールに最適化したピッチサイズであってもラグビーフットボールの実施が可能になるわけです。


 さらに,“メディア”への収まりの良さも求められています。
 ソフトボールにしても,野球にしても。
 オリンピックでは,時間短縮を徹底して意識したレギュレーションになっていました。
 それでも,メディアへの収まりがよくない,と思われたのでしょう。
 セブンズは,14分(最大でも20分)という時間枠で収まってしまいます。


 セブンズが選択される,という背景を考えるならば,恐らくこんなところでしょう。


 ゴルフに関しては,(あくまでも推理ですが)また違った論理が流れているように思えます。


 北京を最後に外された競技は,アメリカという存在を強く意識させる競技です。
 ただ,このことで不利を背負うわけにはいかない,という意識が働いた,とも感じるのです。


 放映権料,という側面からIOCに影響力を持つ,ネットワークの存在です。TV観戦をする視聴者のひとたちを「顧客」と考えるならば,最も多くの顧客を抱えているのは,アメリカのネットワークなのです。彼らの意向が,競技時間などに反映されている,という話もあるくらいですし。
 そんな彼らの協力を取り付けられなければ,いまのオリンピックを維持するのは相当に難しいでしょう。


 そこで何を考えるか,と。


 欧州ツアーもあり,アメリカツアーもあり。
 また,プロフェッショナルの協力体制が取り付けられる。
 ならば存在感を持っているネットワークに対して,違った方向での魅力を訴求できる,と。


 欧州,アメリカ双方の「顔を立てる」解決策として好適だった,と映るのです。


 こういうポリティクスを乗り切らないと,オリンピックでの競技にはならない。ある意味では当然なのでしょうが,なんとも・・・な話でもあるように思ってしまいます。