鈴鹿8耐(2009・再掲)。

レース屋同士の争い,ではあるけれど。


 “ファクトリー”が持つ凄みを,どこかに感じます。公式練習にしても,計時予選にしても。それでも,「論理的に」決勝の結果が導かれるわけではない,と。


 これだからレースは「怖い」,と,思うひともおられるでしょう。ただ同時に,これだからレースは「面白い」と,感じるかも知れません。もちろん,ワタシは後者のクチであります。



 7月最終週の日曜日。鈴鹿8耐決勝であります。


 であれば,相当に時機外れな話ではあるのですが,例年扱っている話でもありますし,ヨシムラさんの特設ページと,ホンダさんの8耐ページをもとにしながら,ちょっとだけ。


 今季の軸は,ヨシムラさんとTSRさん。ともに,日本を代表するレース屋であります。


 ヨシムラはスズキとの関係が深く,TSRはホンダとの関係が深い。今季に関して言うならば,TSRが持ち込んだマシンはホンダから貸与されたファクトリー・マシンでもあります。
 昨季,盤石な強さを見せ付けたワークスCBR。予選で速さを見せたのは,サテライトの位置付けだったTSRであります。09シーズン,ワークスとしての開発,熟成はされないとしても,レース屋さんとしての経験は実質的な09スペックのワークス・マシンを仕立てるに十分だったでしょう。ある意味,ホンダ・レーシングと同じく迫力のある参戦体制だったかも知れません。


 となると,決勝もTSRが中心に,と思うところです。


 レースの流れに関しては,ホンダさんのページとヨシムラさんのページを読み合わせてみれば,かなりしっかりと追えるかと思いますので,そちらをご覧いただくとして。


 今季,レースの怖さを鈴鹿で実感することになったのはTSRだったのです。ごく立ち上がりの時間帯で,転倒を喫してしまうのです。
 対するヨシムラは,経験を生かした戦いぶりをしていたようです。天候面が非常に不安定なために,路面状況も相当に不安定だったようです。その路面状況に対して,的確な判断をしていったようですし,チームとしての戦い方も(ポジション面での優位性があるとしても)安定していたようです。


 また,今季はカワサキ系のプライベティアが活躍していました。かつては,ファクトリー・チームをスターティング・グリッドに見ることもできていましたが,最近のカワサキは不思議と8耐とは距離を置いていました。ですが,モトGPでも存在感を見せ付けたように,鈴鹿でもその存在感をみせてくれた。プライベティアでも,実質的なファクトリー・チームに対して勝負を挑める。ポディウムの一角を落としたことで,そんな証明をしてくれたように思います。


 というように,プライベティアが頑張ってくれた今季の8耐でありますが,ヤマハさんには,もうちょっと頑張っていただきたいと思います。せっかく,いいタマ(YZF−R1)を持っているのですから,積極的にヤマハ系チームにサポートしてくれてもいいのに,と思うのです。ファクトリーが前面に出なくともいいけれど,今回のホンダさんのように,プライベティアへのマシン貸与,技術支援などできることは結構あると思います。


 ワークスではなくて,レース屋さんが真正面から戦いを挑む。


 そういう形が,8耐の魅力を再認識させてくれましたが,メーカの関わり方,という部分ではちょっとばかり課題もあった,そんなレースだったかも知れません。