招致契約書から「競技場」を推理する。

たとえば,横浜国際を想定すると。


 まずは,ルーフを換装する必要がありますね。また,VIPラウンジが不足している可能性があります。あるとは思うのですが,メイン・スタンド側ですと拡張可能性が薄い,とも感じます。放送ブースとラウンジが接近してしまっていますから,なかなか分離するのは大変でしょう。となると,バック・スタンド側にもVIPラウンジを,となりましょうか。


 となると,キャパシティが現状から下回る可能性も否定できず,と。2002では決勝戦の舞台でありましたが,さまざまな要素を考慮すれば,準決勝あたりで,ということになりそうです。


 やはり,2016とのリンクは不可欠。2016の決定があってはじめて,動き出す話であるようです。


 今回は,共同さん配信のニュース記事(スポーツナビ)をもとにしながら,「競技場」という側面でちょっとだけ推理をしてみようと思います。


 まず,「競技場」への要求基準は相当に高いものがあります。


 FIFAのサイトには,競技場に関する膨大なPDFファイルがあります。そのファイルがそのまま,競技場への要求基準なのです。この基準を大ざっぱに見る限り,相当にハードルは高い。ただ,これはFIFAに限った話ではなくて,IAAFが設けている基準もかなりの水準です。国際的なトーナメントを招致しようと思えば,いずれにしても彼らが求める基準を充足していく必要が出てくるわけです。


 となると,2002に使われたベニューをそのまま転用する,というわけにはいかないものと思われます。分かりやすい部分で言えば,ピッチへの影響を最低限に抑え込む(=日照を確保する)とともに,観客席エリアを100%カヴァできるルーフを設置することが要求されていて,その要求基準をクリアしている競技場は,現状ですとゼロに近い,と言わざるを得ない,かも知れません。


 必要最低限で抑え込めるか,それとも大規模な改修が必要か。


 競技場によって異なるか,とは思いますが,少なからず改修の必要性が生じる,と見るべきでしょう。また,無料公共輸送などが条項として盛り込まれているとすれば,アクセス面からベニュー選択を見直す,という必要性も出てくるように思われます。恐らく,12〜15程度の候補をピックして,最終的に10〜12へと絞り込むことになろうか,と思われますが,2002での開催実績があるから,と言って,2002にプラスして複数のベニューが,とは単純にならないでしょう。


 拡張可能性を持った競技場,たとえば敷地が大きく,(仮設であれ,常設であれ)スタンドを増設することが難しくない競技場,しかもJクラブが主戦場として使用し,アクセス面で大きな問題のない競技場であれば,ベニューとなる可能性を秘めている。


 そのように考えると,あくまで2018,あるいは2022は2002の延長線上ではない,と結論付けられそうです。