対山形戦(09−16A)。

2009シーズンはある意味,


 「課題をあぶり出しながらチームを熟成させていく」


シーズンである,とあらためて意識しておくべきかも,と思うゲームです。


 もちろん,課題をネガティブに捉えることもできます。できますが,クラブは戦術的な転換を選んでいます。課題を,「進化に向けたヒント」と位置付けておくことも大事ではないか,と思うのです。「チームとして,戦術的なイメージを徹底しておかなければならない要素は何か」など,実戦を通じた「皮膚感覚」で理解させていく,重要なタイミングである,とも見ることができるように思うのです。その繰り返しを通じて,どれだけ「効果測定」(勝ち点奪取)を積み重ねていけるか,が結果としてスタンディングへとつながっていくものと思います。


 スタンディングからフットボールを逆算しているわけではない,と。


 いつもよりも,さらに遅れております。の,山形戦であります。時期に遅れてもおりますれば,ごく大ざっぱにまとめる程度で。


 ということでさらなる熟成を,と思うポイントでありますが。


 アウトサイドでどのような約束事をつくるのか,であったり,守備意識をどのように徹底するか,というような部分ではないか,と感じます。4-4-2ウィングでのアタッキング・ミッドフィールドと,SBとのコンビネーション。あるいは,4−2−3−1でさらに大きく張り出したウィングと,SBとの関係性。この整理をしっかりとしておかないと,相手に対して攻略ポイントを提供してしまうことになります。


 アウトサイドで,物理的な数的優位を構築する。“ダブル・アウトサイド”などという言い方を,ここでもしています。4,たとえばフラット・スタイルのパッケージや,ボックスほどセンターに絞っていないパッケージを採用する意図だと思いますが,SBとウィングとの戦術的なイメージがズレを生じてしまうと,物理的な数的優位を生かすことができず,結果として相手に主導権を握られてしまうことになります。この部分で実戦を通じた課題を提示されたわけですから,さらに戦術理解を深めるために,この課題を生かしてほしいところです。


 そして,ファースト・ディフェンスと言いますか,コースを厳しく限定するような形でのプレッシングと言いますか,相手ボール・ホルダーへのアプローチがしっかりした形で安定していないと,チーム・バランスが崩れてしまうように感じられます。


 特に今季は,最終ラインを基準とする守備的安定性を狙うのではなくて,相対的に高い位置からの守備が機能しない限り安定性が保てない,積極性が基盤となる守備へと意識を傾けていますから,ファースト・ディフェンスの重要性は相当に高いはずです。守備面で「緩さ」を見せてしまう,言い換えるならばリトリートのイメージを残して中途半端に相手ボール・ホルダーに対するアプローチを仕掛ける程度だと,チームの狙う守備応対が機能させられない可能性が高くなってしまう。


 攻撃面を安定して機能させる(=高いエリアで攻撃を循環させる)ためにも,守備意識がどれだけ高く維持できるか,が今季のフットボールにおいては鍵を握っているものと感じます。


 ・・・ファースト・チームが置かれている状態がゆえの,スターター。


 それゆえに出てきた課題,だとは思います。コンビネーションが熟成されているスターターではなくて,その逆を行っているわけですから。となれば,スターターには「やられ方」が強く印象に残っているはずだと思います。実戦を通じて強く落とし込まれた印象が,戦術理解度を深めるきっかけになってほしいと思いますし,チームの厚みになってくれることを期待したいと思うわけです。


 対して,「チームとして」どのように調整をかけるか,などのチーム・ハンドリングで「勝ち点3」を引き寄せています。


 ごく大ざっぱな言い方をするならば,前半のチームは「荒削り」。熟成といっても,ごく初期段階にあるような状態ですから,ある意味当然でありましょう。その荒削りなチームに,方向性を与えたのが後半からの戦術交代であったかな,と思うのです。


 中盤での存在感が,チームに安定感をもたらす。ステップ・バイ・ステップで,ということにはなるでしょうが,チームがさらなるパフォーマンスを表現するための前提条件が整ってきているな,と感じます。