Round of 16 (ACL East Division)。

水曜日のエル・ゴラッソ紙。


 なかなかに鋭いフレーズを扉に持ち出しておりました。


 ホームアドバンテージを疑え」


であります。


 軸足を外して,フットボール・フリークとしてACLであります。QFへと駒を進めたクラブに注目して,見ていくことにします。


 さて。エルゴラさんのフレーズに戻りますと。


 移動を伴うことなく,クラブを支えてくれている存在の前で戦うことができる。確かに,ホーム・スタジアムで戦えることにはメリットがあるとは思います。そのメリットが,「勝ち上がり」へつながるか。


 ここで,今季からのレギュレーション変更が関わってくるように思うのです。


 セカンド・ラウンド初戦(Round of 16)は,第2戦が用意されていません。戦い方,という言葉を持ち出す必要がない1発勝負であります。ビジターであろうと,ホーム・クラブであろうと「結果」を引き出すためのアプローチが必要条件になるわけです。


 確かに,相手の攻撃を抑え込む,という意識も必要です。ただ同時に,「相手よりもより多くのゴールを奪取する」という意識も重要になってきます。ある側面においては慎重さが求められ,またある側面においては積極的にリスクを引き受ける姿勢を押し出すことも求められる。ともすれば矛盾する要素をバランスさせながらハンドリングしていくことが求められるか,と思うのですが,万博での川崎は「相手よりも多くのゴールを奪取する」という姿勢にバランスを傾けることで,「大事な試合」という「壁」を乗り越えて見せた。守備的な安定性,という視点からこのゲームを見るならば,相手の後手を踏んでしまった,という評価もできるでしょう。イーブンに持ち込んだにもかかわらず,再びビハインドを背負うような状態に陥ったわけですから。


 ここで指揮官は,積極的にリスクを引き受ける,という選択をしてきます。


 「縦」方向を意識したギアチェンジを仕掛け,ピッチに「縦」を強く意識させるメッセージを繰り出した。このメッセージが鍵を握っていたように思うのです。ホーム・アドバンテージという要素を跳ね返してみせた,典型でありましょう。


 名古屋は,かなり厳しい守備応対を強いられた時間帯が多かったような印象です。対戦相手である水原は,積極的にリズムを掌握しようという姿勢を持っていました。ただ,彼らは最終的な局面でリズムを完結させきれてはいなかった。「隙」を生じる余地があったか,と思うのです。その隙を,的確に突いていくことができた。


 確かに,名古屋はホーム・スタジアムである瑞穗で戦ってはいました。いましたが,そのゲーム・プランはどこか,ビジターとしてどこか違う場所で戦っているかのような印象を持ちもしました。リズムを掌握していく,という姿勢を押し出すのではなく,「傾いてきた流れを逃さず,フィニッシュへと直結させる」という,リアリスティックな方向性を狙っていたように感じます。


 あくまでもアウトサイドからの見方,ではありますが,ゲーム・プランという部分でフットボールの面白さを感じさせるゲームでありました。