俊輔選手をめぐるエトセトラ。

ビセンテカルデロンでの姿を見てみたかったですけどね。


 “Times”からのメールで,ちょっと盛り上がったのですけど。


 リーガでも屈指の熱狂度を誇る,ビセンテカルデロン。誰が,という話ではなくて,単純に興味をひかれたわけです。


 であれば,失礼ながらエスパニョールよりもいい話,と思ったのも確かです。欧州を現実的な射程に収められるクラブになっているわけですし。とは言え,クラブとともに欧州を狙うというのはひとつのモチベーションでありましょう。また,早い段階からオファーを出していた,という部分もあるでしょうか。


 ということで,オリンピコが主戦場になると。ほぼ,想定通りの落としどころなのでありましょう。フットボール・フリークという方向に軸足を移して考えるならば,納得の結論であります。


 ということで,浦和という軸足をちょっとだけ外して,俊輔選手にまつわる話であります。となると,どうしてもMM21方面のクラブの話となりますが。


 端的に問題を指摘してしまえば,状況がスポーツ・メディアに露出しすぎていたな,と思います。しかも,「特定のスポーツ・メディア」に。浦和も「特定のスポーツ・メディア」にクラブ内部の状態が相当に流出していたわけですが,そのデッド・コピーが慎重な取り扱いが必要となるはずのメルカート関連で流出し過ぎていた,と思うのです。


 ともすれば,意図的なリークによって交渉の主導権を,と思ったのかも知れません。しかし,その背後に見えたのは“マーケティング主導“の移籍戦略ではなかったか,と思われます。リリース当初はあえて言いませんでしたが,開港記念ユニフォームは“メタファー”以外の何物でもなく,リーグ中盤での中継体制としては異例,とも言える中継体制は「すでにピッチに立っていること」を見越したものだったはずです。


 ファースト・チーム,その戦力をどのように設計するのか,という視点から考えられた話ではなくて,俊輔選手が持つ「商品価値」にクラブを含めた関係者がフォーカスするところからはじまった話,だと思うのです。


 確かに,フットボール・ビジネスは冷徹な側面を持っています。


 (言いたくはありませんが,あえて)フットボーラーという「商品」をどう扱うか,という部分は,クラブが主導権を掌握して,という姿勢が欧州でも明確に見えるところです。ただ,フットボーラーも自らのキャリア設計を持っているのですから,相互の描くピクチャーが重なっていく必要も,またある。慎重さが求められる所以です。欧州でのシーズンが終わり,そこから国際Aマッチを戦った選手に対して,充分な休養を与えることなくマーケティング方向からの要求を出す。これで,契約を優位に進められるはずもない。


 優位に進めるつもりが,自らに「隙」を生じた。あるいは,順調に進んでいることで要求が自然と大きくなっていったかも知れない。もちろん,アウトサイドからの推理でしかありませんが,少なくとも慎重さを欠いた手続だったのであろうことは感じるところです。


 クラブ・サイドにとっては,かなり手厳しいレッスンとなったのではないでしょうか。