厳然たる5点差(IRB JWC2009)。

立ち上がりで,リズムを掌握できない。


 逆に,相手のラッシュを受け止められない。


 相手があって成立する競技なのだから,相手に対するリスペクトを失ってはいけないけれど,必要以上に恐れる必要もないはずです。
 相手に渡ったリズムを再び取り戻すには,どうしてもパワーが必要になります。そして,時間を使ってもしまいます。5点差,純然たる1トライ差ですが,「僅差」とは言い切れない。細かい部分での「僅差」が積み重なった,実際にはかなり大きな「僅差」なのではないか,と感じます。


 ひさびさに,楕円球な話であります。


 残念ながらグループリーグ全敗を喫したIRB・JWC,そのグループリーグ最終戦についてのスタッツをもとにしながら書いていこうと思います。


 グループリーグを振り返ってみると,初戦で大きくリズムを崩したな,と感じます。
 立ち上がりの時間帯は確かによく踏みとどまっていたな,と感じますが,踏みとどまれなくなると,完全に相手にリズムを掌握されてしまった,という印象です。
 相手にリズムを握られる,という部分は第2戦や第3戦でも感じるところです。後半に反撃を見せはするものの,リズムを失っていた前半の影響を受けてしまうのです。


 なかなか,立ち上がりからリズムを掌握できない。あまりにもったいない,と思うのです。


 後半になってリズムをつかみ,反撃していけるということは,チームの持っている潜在能力は決して低くはない,という部分に(ある程度であるにせよ)つながるものと思います。ただ,国際試合という舞台では,リズムを取り戻すタイミングが遅ければ,「結果」を失ってしまうことになります。


 冷静に立ち位置を見れば,“チャレンジャー”という言葉以外にありません。チャレンジャーが,相手の仕掛けを待ってしまってはどうにもなりません。自分たちから積極的に仕掛け,リズムを奪う意思を見せ付けていかないと,ゲームを自分たちの意図する形でコントロールすることもできないはずです。


 イングランドは,プロフェッショナルでチームが構成しています。
 対する日本は,大学リーグを戦う選手たちでチームが組まれています。ちょっと遠回りになる話かも知れませんが,ここから考えていく必要があるように,個人的には感じています。


 大学リーグは,そもそも1回戦総当たりです。その規模も,決して大きいものではありません。また,関東エリアで言うならば有力校が対抗戦グループ,リーグ戦に分かれてしまっていて,「真剣勝負」を多く組むという視点から言うならば,現状での対抗戦,そしてリーグ戦は中途半端な状態とも言えるでしょう。
 大学選手権はカップ戦ですから,チームの持っている総合力,というよりは加速態勢が問われてしまう側面を持ちますし,トップリーグ・レベルのクラブとのゲームは現状において日本選手権に限られてしまっています。


 実戦を通じて選手のポテンシャルを引き出す,というには,意外に負荷が掛かりにくいシステムになっているように感じられるのです。


 ポテンシャルを持った選手を早い段階からセレクトして,しっかりとした強化プログラムを,というアプローチも大事かも知れませんが,そもそも大学リーグという主戦場でどれだけ厳しい実戦経験が積めるのか,そして上位クラブとの対戦機会がどれだけ得られるか,という視点からの検討も求められていくのではないか,と感じます。


 第2戦,そして第3戦で実感した「僅差」。この僅差を埋めるために,あらゆる方向からアプローチして欲しいと思います。