「野戦病院」とイングリッシュ・ウィーク。

ウィークエンドにリーグ戦を戦い,ミッドウィークにはカップ戦を戦う。


 実際には,ウィークエンドにもカップ戦を戦っているわけですから,正確にUKの姿を映しているわけではありませんが,いささか過密なマッチスケジュールは,確かにUK的です。水曜日にはFAカップであったりカーリングカップを戦い,土曜日(日曜日)にはプレミアシップ(もちろん,リーグ・チャンピオンシップなどの下部リーグの可能性もありますが。)を戦う,そんな姿と重なるわけですね。


 フォルカーさんが言うところの,“イングリッシュ・ウィーク”です。


 なのに,日刊さんが指摘するまでもなく,厳しい状態です。


 もちろん,ポジティブにとらえることも可能です。


 実戦経験の浅い選手に,リーグ・カップで実戦負荷を掛ける。そして,実戦を通じて戦術的な理解度を深め,「個」としてのレベル・アップを意識させる。確かにその通りではあるのですが,「戦術的なパッケージ」が大きく揺れなければ(チームとしてのパフォーマンスが大きく低下することがなければ),という条件があるように思うのです。


 そこで鍵を握っているのが,CBとセントラル・ハーフ(ディフェンシブ・ハーフ)で形成される守備ブロックではないか,と思います。今井さん(恐らく,日刊の新たな浦和番でしょう)は,厳しいチーム状態を達也選手やポンテ選手を例にひきながら書いていますが,実際に厳しいのは最終ラインではないか,と感じます。センターも「野戦病院」の影響を大きく受けていますし,もともとフォルカーさんが「工事現場」と表現した左サイドは工事現場からさらに後退,戦力的な整い具合だけで言うならば「造成途上」くらいにまで戻ってしまっているように思います。


 それでも踏みとどまれているのは,「守備ブロック」が揺れていないから,ということになろうかと思います。坪井選手と暢久選手でつくられるセンターのコンビネーションは,カバーリングなど「流れ」からつくられる形をキックオフ段階からつくる,と考えるならばスムーズに理解できるところですし,ディフェンシブ・ハーフのポジションを考えても,もともと本職である細貝選手が啓太選手とともに収まるわけですから,シンプルな約束事を徹底しておけば,チームが大きくバランスを崩すことはない,と。


 ないだろうけれど,“ペース・コントロール”という部分で初期段階のパッケージでもありますから,組織的な守備応対がペースの揺らぎに対応するように揺れてしまうことも,また確かです。


 結果として,ファースト・チームのボトム・アップとして貴重な実戦となりましたが,実際には相当難しいチーム・ハンドリングを強いられたものと思いますし,今井さんが指摘するまでもなくこれ以上の負傷離脱は何としても避けたい。であれば,7日にゲームがないというのはありがたいこと,です。


 動ける戦力に,しっかりとしたコンディショニング。実戦負荷がしっかりと掛かった若手には,戦術的に詰め切れていない部分に関する修正など。そして,パッケージとしてのイメージを束ねていく,と。実質的なボトミング・アップをできる貴重な時間になるか,と感じます。


 スケジュール面での問題も当然ありますが,そのことはいまは置いておいて。コンディショニングだけに意識を振り向けざるを得ないはずの“イングリッシュ・ウィーク”から解放されるだけでもポジティブな影響がチームにはあるはずですし,リードタイムが戦力復帰にもいい影響を与えてくれれば,と思います。


 そしてこの厳しい状態は,リーグ戦終盤に大きな意味を持ってくれるはず。そのようにも,思っています。