対チリ戦(KCS2009)。

予選段階では見えにくくなる,チームの方向性。


 その方向性に対して一定程度の「確信」を与える,そのきっかけになってくれるゲームではないか,と思います。


 100%のチームが対戦したわけではありませんから,収穫も100%ではなく,割り引くべき要素がある,とは思います。ただ,主戦パッケージではない形で,チームが狙ってきたフットボールを表現することができた,というのは収穫と考えてもいいのではないでしょうか。


 ということで,チリ戦であります。相変わらず1日遅れでありますので,いつもよりは短めの方向で。


 立ち上がりの時間帯は,ともすれば緊張感が支配するゲームになるかも,という印象を受けました。


 相手は中盤でのボール奪取を真っ向から挑み,シンプルな仕掛けを繰り出してくる。相手に表現されるのではなくて,自分たちが表現しなければならないフットボールを,相手にされている時間帯があったように感じます。ただ,相手が中盤での勝負を挑んできた,ということが「化学反応」のきっかけにもなったのではないか,と感じます。


 相手は,守備的な安定性へ意識を振り向けているわけではありません。むしろ,中盤での積極的な守備から攻撃へ,というように相似形なフットボールを意識していたように受け取れます。中盤での主導権を掌握することができれば,相手の仕掛けを効果的に抑え込むことができると同時に,自分たちが狙う攻撃が仕掛けやすくなる。高いエリアでのプレッシングからボール・コントロールを奪い,縦に鋭く攻撃を仕掛ける,という戦術的な意図がより明確に表現できるようになった,と感じるわけです。


 加えて言えば,このゲームでは攻撃にトラフィックが生じる時間帯が少なかったこと,ポジション・チェンジから繰り出されるオーバーラップがフィニッシュへと直結したことも,収穫として意識できる要素でしょう。ウィンガーが大きくサイドへと開いてしまえば,SBが攻め上がってくるスペースを潰してしまうことになりますし,逆にセンターへと絞りすぎてしまうとFWとの距離感がタイトになり過ぎて,リフレクションを狙う形が作りにくい。セントラルとウィング,そしてSBの距離感(ポジショニング・バランス)が適切に維持され,同時に循環の意識を保っていたことで,仕掛けの分厚さが作り出せていた,と感じます。


 ・・・もちろん,課題も感じますし,相手の状態を見れば差し引くべき要素も少なからずあるようには感じます。


 また,(現任指揮官が想定しているだろう)ベスト・パッケージではない,という要素も考慮すべきところです。ではありますが,表現されたフットボールは,「狙う形」に近いものだろう,という印象も同時に持ちます。ベスト・パッケージで,チリ戦のフットボールをスケール・アップする形でしっかりと表現できるかどうか。そういう見方も成立するかも知れない,と思います。