人事往来(監督版)。

まずは,ファン・ハールでしたね。


 エールディビジでは,しっかりと実績を残しています。そして,リーガ・エスパニョーラでも一定程度の実績を残してもいる,のでありますが,どうしても第2期の印象に引きずられるのか,必ずしも強い印象を残すものではなかったように感じます。


 しっかりと戦力がそろったクラブよりも,戦力を育成しながら,同時に強さを身につけていく必要があるクラブにおいて,その個性は生かされるのかも知れない。AZアルクマールにおいて,階段を着実に上がっていくかのようにマイスター・シャーレへの距離を詰めていった過程を見ると,そんな印象を強く持ちますし,果たしてバイエルン・ミュンヘンというクラブと彼自身の個性がポジティブな化学変化を起こしてくれるのか,半信半疑であったりもするのです。


 さて。シーズン最終盤の欧州主要リーグであります。となると,来季に向けた動きも表面化してきます。そこで今回は,スポーツナビさんの記事をもとにしながら人事往来,と言いますか,監督往来な話を徒然に。


 スポナビさんでは,カルロ・アンチェロッティの動向を軸に記事が書かれています。


 彼は,サン・シーロからスタンフォード・ブリッジへと移るらしい,と。確かに,あり得る話かも,と思います。2008〜09シーズン,スタンフォード・ブリッジは指揮官の途中交代を経ています。ルイス・フェリペ・スコラーリからフース・ヒディンク,であります。でありますが,ヒディンクは基本的に“パートタイム・マネージャー”でありました。ロシア代表監督,という軸足を動かすことなくスタンフォード・ブリッジでの指揮を引き受けていたわけですから,シーズン終了に伴って「兼任」という状況は解消される(ロンドンでの仕事はピリオド),と見るのは決して難しくなかった,と。となれば,後任を同時並行でチェックしていたはずです。


 スタンフォード・ブリッジは攻撃面でゲームの主導権を,というよりも,どちらかと言えば守備面により強く意識を振り向けてきたような印象があり,さらに言えばイタリアンな指揮官を迎えていた歴史もあります。アンチェロッティ,という選択はあり得ない話ではない,と思うのです。


 さて。この記事ではアンチェロッティとレアルとの関係が触れられていましたが。


 アーセンが,そのレアルとの可能性を否定していないのだとか。フロレンティーノ・ペレスがレアルの会長へと就任したことで,アーセンを監督に,という動きがあることを受けての話のようですが,どこかメディアに向けたサーヴィスが含まれた話であるように感じます。ただ,アシュバートン・グローブ方面への牽制が含まれているかも知れない,とは感じます。ここ数季,戦力構成に関して必ずしもクラブ・サイドとアーセン・サイドで描いているピクチャーが一致していないのではないか,という印象を持っているのです。イングランドにおいて,最も安定した成績を収めているクラブであることは間違いなく,プレミアシップにおいて主要クラブという評価を受けるに足るクラブ,だとも思うのですが,アーセンが持つ育成手腕に依存「し過ぎて」いるかのような印象を受けるのです。(個人的には好きではない表現なのですが)戦力を「買う」立場に立とうと思えば立てるクラブです。マーケットで巧みに立ち回れば,戦力補強以外のベネフィットも手に入るはず。と思うところもあるのですが,実際には「売却」ばかりの印象がどうしても目立ってしまう。戦力構成に関しても責任を負うマネージャーとしては,ここ数季のガンナーズは好ましからざる状態だった,と見ていたとしても不思議はないな,と思うのです。


 そして恐らく,アーセン自身もクラブとの微妙な温度差を感じているでしょうし。


 この温度差が縮まらないとすれば,契約途中での移籍もあり得る話,というメッセージを出しているようにも見えるのです。


 いずれにせよ。まだ監督往来も序盤,であります。どのような動きがあるのか,それとも「新聞辞令」程度の話で終わるのか。オン・ザ・ピッチな話ではありませんが,クラブの将来像ともかかわる話ですし,興味をもって見ていこうと思います。