対清水戦(09−08A)。

3が1に,という見方もありましょう。


 確かに,「勝ち点」は重要な要素です。ただ,その重要な要素を「最優先に」意識付ける時期か,と言えばそうではないと思いますし,最優先で意識付けるべき要素はほかにある,と感じます。


 現段階では,09スペックのフットボールをどこまで煮詰められたか,が最も優先されるべきだろう,と思いますし,チャンピオンシップ・ポイントは確かに重要な数字ですが,その数字だけを追い掛けていては09型のフットボールは構築しきれない,かも知れません。そんな観点からこのゲームを見れば,課題が明確になってきたことも含めて悪くないゲームだったと思います。


 ということで,いつものように(以下省略),の清水戦であります。


 まずは,課題と言える要素を取り出してみれば。


 思うに,(ある意味,チェック・ポイントではありますが)戦術理解度に対する濃淡が出始めていること,でしょうか。


 終盤でのギアチェンジは確かに難しい側面があります。09型のフットボールでは,単純にスローダウンするだけですと相手の仕掛けを「受けて」しまう可能性を孕みます。ボールを奪いに行くポイントにはできるだけ変化を与えることなく,同時に相手の仕掛けを抑え込む,と。そう考えていくと,ダッグアウトでキックオフを迎える選手にも,スターターと同程度,あるいはそれ以上の戦術理解度が求められる,ということになりましょう。


 シーズン終盤にかけて,チームが加速態勢をとる。


 そのときに鍵を握るのは,スターターの熟成度もそうですが,リザーブの戦術理解度が上がっていくことにもあると感じます。ファースト・チームが全体として,一定程度以上の戦術理解度を持つようになれば,ゲーム・コントロールでの自由度を手にすることにもなろうか,と思います。そして当然,スターター自体の幅も広がっていくはずです。


 対して,ポジティブな部分を考えてみますと。


 09型が狙う仕掛け,その仕掛けに対する確信が深まってきているように感じられること,であります。パス・ワークを基盤として攻撃を組み立てる,というイメージはシーズン当初から感じ取れましたが,時間帯が限定される傾向がありました。その時間帯が,確実に増えていると感じられることであります。


 仕掛け段階での確信が,フィニッシュへと結び付く。そういう段階に踏み込みつつある時期,でありましょう。


 まだ,ボールを動かすことに意識が強く傾いてしまって,相手を引き付けてからの対応だったり,フィニッシュひとつ前,な仕掛けが曖昧さを残してはいます。それでも,足りない要素が具体的に描けるようになってきているのではないか,と感じます。


 どう動けばシュート・モーションへと持ち込むことができるのか,あるいはパスを繰り出すのではなく,シュートへ持ち込んでしまうことで相手守備ブロックに対して絞りをかけさせないようにする,などというフィニッシュのイメージと,シーズン序盤から徹底しているポゼッション・イメージとが,緩やかにではあるけれどつながりはじめているように感じます。


 ・・・09スペックなフットボールはごく初期段階,という時期を過ぎつつあるようです。


 戦術理解度という部分で濃淡を感じられるようになったのは,09スペックなフットボールが着実に根付きつつある,ということの裏返しであるようにも感じます。ただ,着実ではありますが,まだ二次曲線的に加速できるか,と言えばその段階でもないと思います。ある意味,ここからが難しいかも知れません。


 戦術理解度に安定性を持たせられないと,ゲーム・コントロールという部分で難しさを抱えてしまうことになります。守備面にウェイトを傾ける,あるいは攻撃面に意識を振り向ける,というときに戦術的なベースが違ってしまうと,リズムを積極的に変えるのではなくて,自分たちからリズムを乱してしまう(相手に付け入る隙を与える)ことにもなってしまいます。


 中期段階に差し掛かったがための課題。


 難しさも増してきていると思いますが,狙う方向性にブレを生じない限り,クリアできる課題だろうと思いますし,対戦相手を通じた「化学反応」も熟成速度を上げてくれる要素になるのではないか,と思っています。